著者
野崎 千尋
出版者
早稲田大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2020

令和2年度に実施した研究成果は、研究の開始および施設の移動に伴う新たな研究環境構築である。科研費の交付内定後に予想外の国内異動が決まった中、新施設と国内旧施設が有する機材が全く異なるため、双方にどのような研究機材があるかを洗い出し、本研究に必要となる機材のうち新施設に無いもので、かつ使用頻度が高くなるであろう物を中心に、特に大型の機材を揃え、そのセットアップを行った。加えて国外旧施設から供与されることが決定していた遺伝子改変動物およびサンプルの輸入を、国内旧施設ではなく新施設に向けて移動できるよう、各種手続きを進めた。その中で当初凍結精子の形で輸入する予定だった動物の個体化を元の国外施設で行い、生体の形で輸入できるように手はずを整えた。また一方で新施設内の他研究室と協力関係を結び、本研究計画を協力して行う体制を整えるとともに、本計画外の共同研究計画も推進し始めた。
著者
北川 克己
出版者
大阪大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2018

セントロメア特異的なクロマチン構造とその機能を決定する重要な因子の一つに、ヒストンH3の一種であるCENP-Aタンパクがある。このCENP-Aがセントロメアだけではなく、染色体上のDNA損傷部位に局在することが報告された。我々のグループはCENP-AはDNA損傷部位の中でもDNA二重鎖が切断された部位に局在することを明らかにした。我々は、また、ヒト培養細胞を用いてCENP-Aの細胞内レベルを低下させると放射線感受性が上昇することを明らかにし、それにより、CENP-AがDNA損傷応答において重要な役割を果たしていることが示唆された。我々はCENP-AがDNA二重鎖切断部位に局在することによって特異的なクロマチン構造を形成し、ネオセントロメア様の複合体を形成し、スピンドルチェックポイントを活性化させるという仮説を検証するために、DNA損傷時特異的にCENP-Aに結合するタンパク質をIPマススペクトロメトリーにより同定した。
著者
鈴木 拓児
出版者
自治医科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2017

呼吸に必須な肺サーファクタントは、肺II型上皮細胞と肺胞マクロファージによるその産生と分解のバランスによって恒常性が維持されている。肺胞蛋白症とは肺サーファクタント由来物質が肺の末梢気腔内に異常に貯留し呼吸不全に至る疾患群であり、その原因から自己免疫性、遺伝性、続発性などに分類され、その大部分は肺胞マクロファージの機能異常が原因である。申請者らはこれまで、ヒト遺伝性肺胞蛋白症の原因探索、診断、病態解明および新規治療法開発の研究に従事してきた。遺伝性肺胞蛋白症はGM-CSF受容体遺伝子(CSF2RAあるいはCSF2RB)変異によって生じるが、いまだ有効な疾患特異的な治療法はない。そこでマウスモデル(Csf2rbノックアウトマウス)を用いて、肺マクロファージ移植法という細胞治療および遺伝子治療を提唱してきた(Suzuki. et al. Nature. 2014)。同治療法は骨髄移植の際に必要な放射線照射や化学療法などを行わずに、マクロファージを一回、直接肺へ移植する方法であり、長期間にわたる移植細胞の生着と疾患の改善および安全性が確認されており、有効な治療法と考えられる。しかしながら、ヒトで患者数の多い(約9割を占める)CSF2RA遺伝子変異による疾患に相当するCsf2raノックアウトマウスはこれまで存在しなかったために、病態の解析や治療法の検討といった基礎的な研究が困難であった。そこで今回新たにCsf2raノックアウトマウスを作成し、同マウスの病態解析を行っている。さらに同マウスを用いて上記の新規治療法の開発研究をおこなっている。
著者
山口 慎太郎 安藤 道人 神林 龍
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2017

本年度は、以下の平成30年度研究発表の雑誌論文に示してあるように、多くの査読付き論文を出版するという成果を得ることができた。それらの出版にいたる過程では、下記に記載したさまざまな学会、大学でのセミナー発表を行い、そこでは有意義な討論を行うことができた。また、西宮市と協力して行った保育利用申込者に対するアンケートも集計を行うことができた。それにより、基本的な記述統計を整理し、西宮市に報告書を提出した。平成31年度はデータのさらなる分析を行う予定である。また、学術論文の出版を目標としており、さらなる研究成果が平成31年度に見込まれている。現在は研究実施計画に従って、引き続いてデータ収集・分析の最中であり、今後のさらなる研究成果は平成31年度に得られることが見込まれる。