著者
北村 京子 菊池 紀彦 Kitamura Kyoko Kikuchi Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = Bulletin of the Faculty of Education, Mie University. Natural Science, Humanities, Social Science, Education, Educational Practice
巻号頁・発行日
no.70, pp.351-355, 2019-01-04

近年、ICTの普及により、学校現場でのICT機器が身近なものになってきた。特別支援教育の中でも、ICTの活用事例は増えている。ところが、学校現場では、機器の不足、授業に使えるソフトウエアやコンテンツの不足、教員自身のICTスキルが不足しているという実状もある。そこで、筆者は今までに研究してきたワンタップ教材を教員が子どもの実態に応じて簡単に教材作成ができるものとして、アプリの開発に着目した。本研究では、特別支援学校において、対象児の習得状況に応じて課題を設定することができ、子ども自身がワンタップの操作で、選択・決定して正解か不正解かを判別できるワンタップ教材アプリ「どーれかな?」を開発した。ワンタップ教材アプリ「どーれかな?」の特徴は以下の3点である。①iPad で撮った写真を素材にして、課題にすることができること、②対象児の習得状況に応じて2択から6択問題まで、選択肢を変更することができること、③課題の流れは、正解すると「〇」の表示とチャイム、不正解すると「×」の表示とブザー音が出る。不正解すると再度同じ課題に戻り、全問正解するとファンファーレや好きな動画が登場する設定ができること、が挙げられる。そして、授業実践を行い、その教材の有用性を検討した。その結果、対象児は、興味関心があるものを答えることができるようになった。
著者
北村 京子 菊池 紀彦 Kitamura Kyoko Kikuchi Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = Bulletin of the Faculty of Education, Mie University. Natural Science, Humanities, Social Science, Education, Educational Practice
巻号頁・発行日
no.71, pp.303-307, 2020-02-28

近年、ICTの普及により、学校現場でのICT機器が身近なものになってきた。特別支援教育の中でも、ICTの活用事例は増えている。ところが、学校現場では、機器の不足、授業に使えるソフトウエアやコンテンツの不足、教員自身のICTスキルが不足しているという実状もある。そこで、筆者は今までに研究してきたワンタップ教材を教員が子どもの実態に応じて簡単に教材作成ができるものとして、アプリの開発に着目した。本研究では、特別支援学校において、対象児の言語理解の習得状況に応じて課題を設定することができ、子ども自身がワンタップの操作で、選択・決定して正解か不正解かを判別できるワンタップ教材アプリ「どーれかな?」を開発した。ワンタップ教材アプリ「どーれかな?」の特徴は以下の3点である。①iPadで撮った写真を素材にして、課題にすることができること、②対象児の言語理解の習得状況に応じて2択から6択問題まで、選択肢を変更することができること、③課題の流れは、正解すると「〇」の表示とチャイム、不正解すると「×」の表示とブザー音が出る。不正解すると再度同じ課題に戻り、全問正解するとファンファーレや好きな動画が登場する設定ができること、が挙げられる。対象児の語彙力が高められるように、物の名前や動作を表す言葉、授業の名前などを扱った課題を作成して授業実践を行い、その教材の有用性を検討した。その結果、2名の対象児は、意欲的に言葉を学び、答えることができるようになった。
著者
北村 京子
出版者
三重県立盲学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

今回は、前回の奨励研究「重度の知的障がいを併せ持つ肢体不自由児のためのワンクリック教材開発と授業実践」の次の段階として、対象児を5名に増やしカスタマイズの有効性を明らかにすると共に、ワンクリック教材の研修会を実施し教員のICT機器の活用を広げることを目的とした。対象児は、知的障がいを併せもつ肢体不自由の子どもたちである。ワンクリック教材のカスタマイズは、以下のように行い授業実践を行った。小学部4年生のKさんは、触る位置を定位置から異なる位置に変化させ、集中力を養う。中学部3年生のRさんは、扱う言葉を身近な人の名前から行動を表す言葉や色の名前などに広げ、語彙を増す。小学部5年生のCさんは、触る部分の面積を徐々に小さくし、ランダムに位置を変化させ注視力を高める。小学部4年生のMさんは、利き手の操作から反対側の手の操作や左右ランダムな手の操作へと難易度を高め、操作力を高める。小学部5年生のIさんは、新たに開発した教材「九九マスター☆」を活用し九九を暗唱できるようにする。夏期休業中に研修会を実施した。電子黒板等の機器の紹介や作成した「カスタマイズマニュアル」を使用し、カスタマイズの仕方の講義とワンクリック教材の作成演習を行った。本研究の成果は、以下の通りである。(1)対象児全員がワンクリック教材を意欲的に集中して取り組み、各自の目標を達成することができ、カスタマイズの有効性が得られた。(2)「ICT機器は敬遠されている」と予想していたが、参加人数や「機器を使ってみたかったが、使い方がわからず使えなかった」という声の多かったアンケート結果から、研修会の意義を感じた。今後の課題は、研修会を増やすことである。自分自身も学校業務を抱えているため、時間を上手く活用し、研修会を設定できるようにする。ICT機器の活用を広げ、一人でも多くの子どもたちに合わせたワンクリック教材を提供してきたい。