- 著者
-
山本 洋行
北村 有子
- 出版者
- 一般社団法人 日本がん看護学会
- 雑誌
- 日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, pp.31_yamamoto_20170222, 2017-01-01 (Released:2017-05-01)
- 参考文献数
- 12
要 旨 がん薬物療法において副作用の患者報告アウトカムを得る評価基準の開発を最終目標とし,本研究は,副作用全般の評価基準の開発に向けて,最初の取り組みとして汎用性のある副作用13 項目について医療者評価と患者評価を得た.そして,臨床における有用性と,副作用項目の追加・拡大について検討した.第1 段階は,文献検討などから原案を作成し,がん薬物療法に関わるスペシャリストら(1 回目86 人,2 回目224 人)の意見を基に修正・洗練を行い,副作用評価基準(案)を作成した.第2 段階は,がん薬物療法を受ける患者に,この副作用評価基準(案)を用いて副作用を自己評価してもらい,患者評価を基に修正・洗練した.第3 段階は,再度,がん薬物療法に関わるスペシャリストら40 人に表現やGrade 分類の適切性の確認を依頼し,コンセンサスを得てGrade 0~3 の4 段階評価を得る13 項目の副作用評価基準の完成とした.患者評価は,20 人(年齢中央値65 歳)を対象にインタビュー調査から得た.自己評価した感想から,【副作用の振り返り・予測】【体調管理】【医療者とのコミュニケーション】【記録の負担】の4 カテゴリーを抽出した.副作用評価基準の開発は,患者の体調管理や医療者とのコミュニケーションの促進,医療者の副作用の効率的な把握や細やかな支持療法の介入に有用である.副作用項目の拡大に向けて,患者評価を積極的に受ける項目と難しい項目の種別,それに合った評価の工夫を見出せた.