- 著者
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松田 大志
北村 葵
樋口 浩和
- 出版者
- 日本熱帯農業学会
- 雑誌
- 熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.1, pp.1-7, 2019 (Released:2020-03-07)
- 参考文献数
- 22
京都大学内の温室で栽培しているレイシ6品種(‘Bengal’・‘Chakrapat’・‘Kwai May Pink’・‘Pot Po Heung[八宝香]’・‘Souey Tung[水東]’・‘Tai So[大造]’)を供試して果実品質を調べた.2014年および2015年に人工受粉をおこない,収量性を評価した.また,収穫した果実を種子の形態で3種類(正常・しいな・痕跡)に分けて品質を品種比較した.‘Pot Po Heung’で種子がしいなの果実の発生率がもっとも高く50%だった一方,‘Kwai May Pink’でもっとも低く10–20%だった.‘Chakrapat’では,種子がほとんどなく痕跡しかない果実が35–50%みられた.‘Bengal’で果皮の赤い着色がもっともよかった.種子が正常な果実では,‘Chakrapat’がもっとも大きく重さが平均で34–36gあり,ついで‘Bengal’で31–33gだった.‘Pot Po Heung’がもっとも小さく20g程度だった.しいなの果実では,‘Bengal’がもっとも大きく25g程度だった一方,‘Souey Tung’がもっとも小さく15g程度だった.種子が痕跡しかない‘Chakrapat’の果実は平均で13–15gだった.可食部の割合が‘Kwai May Pink’の果実でもっとも多く74–82%だった一方,‘Bengal’では可食部はもっとも少なく65–76%だった.‘Chakrapat’および‘Tai So’で果汁の糖度が低かった.‘Kwai May Pink’および‘Pot Po Heung’で果汁の酸含量が低かった.‘Kwai May Pink’の食味がもっとも優れ,ついで‘Bengal’が優れた.‘Chakrapat’および‘Tai So’は食味が果実によって大きくばらつき,劣るものもあった.種子がしいなや痕跡の果実でも,種子が正常な果実と食味は変わらなかった.‘Chakrapat’および‘Kwai May Pink’で収量性が高かった.‘Kwai May Pink’は果実の品質が優れ,どちらの年度も収量性が安定して高かった一方,‘Pot Po Heung’・‘Souey Tung’・‘Tai So’は品質が劣り収量性も低かった.