著者
岡本 佐智子 Sachiko Okamoto 北海道文教大学外国語学部国際言語学科
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学論集 (ISSN:13454242)
巻号頁・発行日
no.13, pp.105-118, 2012-03

少子化が進むシンガポールでは、2000 年代に日本よりもはるかに速いスピードで高齢化社会に移行することが予測されている。限られた人口と狭い国土、乏しい天然資源の小国は、外資と外国人労働力に依存して経済成長を遂げてきた。しかし、近年の外国人労動者の急増は、職を奪われる、住宅取得が困難になった、などといった国民の不満が大きくなるばかりである。 シンガポールが今後も競争社会を貫き、あくまで経済を追及していくのであれば、人口老齢化を防ぐために移民や外国人労働者の受け入れ継続は避けて通れない。他方、出生率の低下に歯止めがかからないまま移民受け入れに門戸を閉ざすのであれば経済発展も望めないし、誰が高齢者を支援するのかという問題が待っている。先進諸国が直面している少子高齢化の中でも、シンガポールのような小国の人口・移民問題は国家の存続にも関わってくる。