著者
北野 絵美
出版者
愛知教育大学
雑誌
治療教育学研究 (ISSN:09104690)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.29-39, 2010-02

本研究は,療育機関等から保育園・幼稚園への移行の様子を1年半に渡って縦断的に観察を行う事により,広汎性発達障害を早期に疑われる幼児の発達支援について検討したものである。第1報(北野,吉岡,2009)では早期療育の『意義』について検討を行った。今回は第2報として,保育園・幼稚園等での観察記録,発達検査の結果を踏まえて統合保育の『意義』及び"移行"に際する発達支援の『意義』について検討をいった。本研究を通じて,統合保育とは早期療育からの"継続性"が非常に重要である事が示唆された。その上で,統合保育を行う『意義』として他児への興味・関心を持ち,模倣行動が出始めている幼児にとって,他児がモデルとなり大きな成長,発達等を遂げる事が第一に挙げられる。さらに,他児と「共に生きること」そのものも大きな『意義』となる一方で,他児と広汎性発達障害を有する幼児との関係性をいかに築いていけるがが,統合保育の『課題』点として挙げられる事示唆された。