著者
神澤 輝実 来間 佐和子 千葉 和朗
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.113, no.12, pp.1991-1997, 2016-12-05 (Released:2016-12-05)
参考文献数
37

先天性胆道拡張症は,戸谷分類では5型に分類されてきた.最近作成された先天性胆道拡張症の診断基準と診療ガイドラインでは,いわゆる狭義の先天性胆道拡張症は,総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張し,全例に膵・胆管合流異常を合併する戸谷Ia型,Ic型およびIV-A型と定義された.膵・胆管合流異常は,長い共通管を有して膵管と胆管が十二指腸壁外で合流し,乳頭部括約筋の作用が膵胆管合流部に及ばないことより,膵液が胆道系に容易に逆流する(膵液胆道逆流現象).先天性胆道拡張症では,しばしば急性膵炎をおこし,さらに膵液と胆汁の混和液がうっ滞する胆囊や拡張胆管に高率に発癌するので,診断されれば肝外胆管切除が行われる.