著者
藤原 敏 嶋 一徹 千葉 喬三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.39-44, 2004 (Released:2005-11-22)
参考文献数
9

未利用有機資源であるタケの有効利用を考え,タケ炭化物の重金属吸着能を木炭,活性炭のそれと比較した。その結果,炭化温度に関係なく炭化物のpHが塩基性を示し,カリウムを多く含むタケ炭は優れた吸着能を有していることが明らかとなった。そこで,道路中央分離帯内の植栽樹木下でタケ炭をマルチング資材として利用した際の,浮遊粉塵中の重金属吸着能について実証試験を行った。その結果,植栽下にタケ炭を敷設することにより重金属汚染の抑制に効果的であることが明らかとなった。
著者
岩崎 寛 吉川 賢 坂本 圭児 千葉 喬三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.186-191, 1999-05-31
被引用文献数
4 3

マツ材線虫病の病徴の進展に影響を及ぼす要因として土壌水分をとりあげ, 異なる土壌水分下で生育させたアカマツのポット苗を用いて線虫接種試験を行い, 土壌含水率による枯死過程の違いを夜明け前の水ポテンシャル, 葉緑素量(SPAD値), 光合成速度, 蒸散速度から検討した。その結果, 土壌含水率の低い環境で生育した苗では, マツ材線虫病の進展がはやく, 光合成速度, 蒸散速度や葉の水ポテンシャルといった生理特性の変化もはやかった。また, 光合成活性を表す指標とSPAD値との関係を見ると, 接種後2週目では葉緑素の破壊が起こっていないが, すでに光合成活性が低下していたことが示唆された。また接種後2週目には蒸散速度も低下していたことから, この光合成活性の低下は, マツ材線虫病の進展に伴う樹体内の水分欠乏による気孔閉鎖が原因であると考えられた。
著者
西村 尚之 山本 進一 千葉 喬三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.95-103, 1992-10-30
被引用文献数
4 2

岡山市内の約40年生のコナラ林において, リターフォール量の調査を約4年間定期的に行った。調査林分の胸高直径5cm以上の樹木の胸高断面積合計は18.1m^2・ha^<-1>で, コナラはその71.5%を占めていた。年間の全リターフォール量は5.94〜8.07ton・ha^<-1>・yr^<-1>であった。また, その64.7〜76.6%を落葉が占めていた。年落葉量は4.55〜5.22ton・ha^<-1>・yr^<-1>で, その年変動は小さかった。コナラの年落葉量は全落葉量の約60%を占めており, 2.59〜3.08ton・ha^<-1>・yr^<-1>であった。落枝量の年変動は落葉量に比べて大きく, この原因は台風の襲来によるものであった。生殖器官の年落下量の約80%はコナラの雄花と果実であった。コナラの果実の年落下量は189〜744kg・ha^<-1>・yr^<-1>で, その年変動は大きかった。落葉量の季節変化は, 11〜12月に落葉の最盛期があり, 4月下旬〜6月上旬にも落葉量がやや増加するパターンを示した。また, コナラは他樹種に比べて落葉期がやや遅く, 短期間に落葉する傾向があった。落枝量は, 落葉量のような明らかな季節変化を示さず, 台風などの強風の影響によって激増した。
著者
西村 尚之 白石 高子 山本 進一 千葉 喬三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.31-36, 1991-07-25
被引用文献数
3 2

下層にヒサカキ等の常緑広葉樹が優占する成熟したコナラ林内に, 低木層を除去した区(L区)と低木層及びリター層を除去した区(C区)の地床処理区と無処理区(N区)を設け, コナラ実生の発生, 生残を3年間定期的に調査した。林床の相対照度はどの時期も地床処理区で高かった。実生の発生数はC区で最も多かった。無処理区での実生の発生は地床処理区に比べ約1カ月遅かった。どの区も早く発生した実生の初期死亡率は低く, 地床処理区では最終調査時のその生残率は遅く発生した実生に比べ高かった。発生当年の実生の生残率は無処理区で有意に低く, 翌年の生残率はL区, C区, N区の順で高かった。無処理区では発生後3年間ですべての実生が死亡した。分枝した実生の出現率は地床処理区で高く, 分枝個体の生残率は未分枝個体に比べ有意に高かった。本林分では自然状態の地床でのコナラ実生の定着はきわめて困難であるが, 低木除去の処理によりコナラ実生の生残に有利な環境が形成されることがわかった。