著者
高橋 修 加藤 聡彦 林 路子 清水 佳都子 千葉 康子 白濱 秋美 窪蔵 孝道 佐々木 啓吾 長嶋 敦 原 直 栗原 由紀子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.901-906, 2013 (Released:2013-11-13)
参考文献数
16
被引用文献数
1

【はじめに】がん難民「ゼロ」を目指す横浜市鶴見区の取り組みを報告する. 【現状】鶴見区内には, 区外・県外でがん治療を受ける患者も多いが, 治療終了後や状態悪化時には, 地元での療養を求められることも多い. 緩和ケア病床数は限られており, 緊急対応は困難である. 鶴見区では, 緩和ケアに積極的な診療所も多いが, 患者・家族の療養の場の希望は変化し, 最後まで在宅療養が可能とは限らない. 地域連携の拠点として「つるみ在宅ケアネットワーク」が組織され, 緩和ケアの充実を目標に活動している. 当院は専門施設として積極的に関与し, 診療所に対して緩和ケア提供状況をアンケートで把握, 在宅管理を依頼, 緊急時のバックアップを担保し, 基幹病院に対しては早期からの併診を求め, 円滑な移行を可能としている. 【課題】地域緩和ケア連携には専門施設が外来機能を強化し, 確実なバックアップを提供することが大切だが, 在宅スタッフのスキルアップ, 緩和ケアの啓蒙, 診々連携の構築が課題である.