著者
千葉 立寛
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1022-1027, 2018-10-15

クラウドが登場し,クラウドという言葉が広く認知されるようになってから10年ほどが経過した今,多くのシステムがクラウドへの移行が進んでいる.しかしながら,既存のシステムで動作していたアプリケーションをそのままクラウド上に移行したとしても,自動的にリジリエントかつスケーラブルになることはなく,クラウドに対応した形(クラウドネイティブ)に変化させていく必要がある.クラウドネイティブ化していく流れの中心に存在するものが,コンテナ技術である.本稿では,コンテナのこれまでの歩みを振り返りつつ,そもそもコンテナとは何なのか,なぜコンテナが登場したのか,なぜコンテナが注目されているのかを解説していく.
著者
千葉 立寛 遠藤 敏夫 松岡 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.104-113, 2007-05-15

グリッド環境上におけるMPIコレクティブ通信の性能は,ネットワークトポロジに強く依存しており,これまでにも最適なネットワークトポロジを構築してコレクティブ通信を高速化させるための様々な手法が数多く提案されてきた.また,近年のクラスタシステムでは,各ノードが複数のNICを備えていることが多い.しかしながら,これまでに提案されている手法は,各ノードの送受信が実行できるポートを1つと仮定してトポロジを構築する手法がほとんどである.そこで我々は,各ノードにある2枚のNICのバンド幅を最大限利用するマルチレーンブロードキャストツリー構築アルゴリズムを提案する.このアルゴリズムでは,ブロードキャストするメッセージを2つに分割し,2枚のNICを用いて2つの独立したバイナリツリーを構築して,それに沿って分割したメッセージのパイプライン転送を行う.また,提案アルゴリズムは,クラスタ,グリッド両方のシステムで効果的に実行でき,NICを1枚だけ備えるノードに対しても複数のソケットを用意することで動作可能である.本稿では,ブロードキャスト通信に対してシミュレータ環境上で実験,評価を行い,従来手法よりも性能が向上したことを確認した.The performance of MPI collective operations, such as broadcast and reduction, is heavily affected by network topologies, especially in grid environments. Many techniques to construct efficient broadcast trees have been proposed for grids.On the other hand, recent high performance computing nodes are often equipped with multi-lane network interface cards (NICs), most previous collective communication methods fail to harness effectively. Our new broadcast algorithm for grid environments harnesses almost all downward and upward bandwidths of multi-lane NICs; a message to be broadcast is split into two pieces, which are broadcast along two independent binary trees in a pipelined fashion, and swapped between both trees. The salient feature of our algorithm is generality; it works effectively on both large clusters and grid environments. It can be also applied to nodes with a single NIC, by making multiple sockets share the NIC. Experimentations on a emulated network environment show that we achieve higher performance than traditional methods, regardless of network topologies or the message sizes.