著者
中林 幸子 Yukiko Nakabayashi 千里金蘭大学 現代社会学部 現代社会学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.16-27,

血液型性格分類は「科学的根拠がない」という枕詞を冠しながら、人びとに広まっている。「科学的根拠がない」にもかかわらず、なぜ血液型性格分類の話を夢中になってしたり、本気で信じたする人がいるのだろうか。本稿では、マス・コミュニケーション効果論の観点から小学4年生の児童(東京都、茨城県の計343名)にアンケート調査を行い、彼らが、血液型性格分類を採用していく過程で、何から(もしくは誰から)影響を受けているのかを探った。具体的には、血液型性格分類についての情報をどこから入手して自らの知識としたのか、何(あるいは誰)の影響で血液型性格分類を信じるに至ったのか 、血液型性格分類を応用した行動を実際にとったことがあるかである。 結果、以下の4点が明らかになった。1児童は血液型性格分類に関する情報を、マス・メディアと人(パーソナル・メディア)の双方から得ている。2行動レベルにおいて、マス・メディアよりもパーソナル・メディアの影響の方が強い。3準拠集団へ強い帰属意識を持つ者は、その集団の持つ血液型性格分類への信念と自身の信念が強く相関している。4血液型性格分類を信じていないがそれに基づいた行動をとる者が存在する。
著者
小森 三恵 Mie Komori 千里金蘭大学 現代社会学部 現代社会学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.34-42, 2010

本研究では,言語性ワーキングメモリ課題であるRSTを用いて,ワーキングメモリの容量制約がメタ認知的モニタリングのはたらきにどのように関与しているかについて検討を行う。大学生18名を対象に,RSTを実施し,ターゲット再生に対する確信度を測定した。その結果,処理資源に制約を受ける状況下においても,再生パフォーマンスの成否をモニタリングすることが可能であることが確認された。さらに,モニタリングによるメタ認知的判断がどのような要因に影響を受けるのかについて検討を加えた。RST得点による群間分析では,メタ認知的モニタリング機能はワーキングメモリ容量に影響される可能性が示唆された。また,ワーキングメモリにおけるモニタリング機能は,同じ文脈内で生じている別のモニタリング情報による干渉によって低下するが,処理資源に対する記憶負荷量が決定的な要因ではないことが明らかにされた。