著者
呉 書林 佐藤 雅美 遠藤 千顯 桜田 晃 董 博鳴 松村 輔二 半田 政志 近藤 丘
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.542-547, 2002-05-15
被引用文献数
5 1

呼吸器外科領域のカルチノイドは肺原発と胸腺原発に分けられ比較的稀な疾患である.一般的に低悪性度腫癌と考えられているが,非定型カルチノイドには予後不良のものもある.今回,われわれは当施設で切除された肺原発と胸腺原発のカルチノイド各々28例と11例について,臨床的因子を比較検討した.肺原発カルチノイドは28例あり全肺癌切除例3371例の0.83%を占め, 11例の胸腺原発カルチノイドは全縦隔腫癌切除例662例の1.67%を占めていた.性差,年齢差はなく,発見動機としては大部分が実検で発見されていた.発生部位は,肺原発のものでは左右差はなく末梢発生が多く見られた.術前にカルチノイドと診断された正診率は肺原発(18/28,64.3%)胸腺原発(2/5,40%)であった.胸腺原発カルチノイドでは周囲臓器への浸潤が多かった(3/11,27.3%).組織亜型の頻度には差はなかった.胸腺原発カルチノイドの5年生存率は38.9%で,肺原発の5年生存率90.4%と比較して有意に予後不良であった.肺非定型カルチノイドではリンパ節転移がみられた(5/15,33.3%).再発死因の検討では胸腺原発カルチノイドで局所再発による死亡がみられ,充分な外科的切離縁の確保と系統的なリンパ節郭清が必要と考えられた.
著者
島田 和佳 半田 政志 近藤 丘 佐藤 伸之 吉田 浩幸 岡田 克典 松村 輔二 高橋 里美 薄田 勝男 羽隅 透 谷田 達男 藤村 重文
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.39-43, 2000-01-15
被引用文献数
4

胸骨切除・再建を要した前縦隔脂肪肉腫の一手術例を経験したので報告する.症例は79歳男性で, 集団検診において, 右肺門部の異常陰影を指摘され精査加療目的で紹介入院した.良性縦隔腫瘍を疑い手術を行ったが, 術中所見にて前胸壁に浸潤を認めたため, 縦隔腫瘍摘除術並びに胸骨・肋骨合併切除を行った.胸壁再建にはMarlex meshでサソドイッチしたレジン板(methyl methacrylate resin)を用いた.術後経過は良好であったが, 術11カ月後に多発転移, 局所再発のため死亡した.脂肪肉腫は, 縦隔に発生することは稀であるため, 文献的考察を加えて報告する.
著者
鈴木 寛利 渋谷 丈太郎 半田 政志 小林 公彦
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.87-91, 2021-02-01

肺癌に対して第1世代上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)を使用していると,T790M遺伝子変異によるEGFR-TKI耐性が生じると報告されている1).T790M遺伝子変異陽性の場合,第3世代EGFR-TKIであるosimertinibが奏効することから,肺癌の再生検がなされるようになった2).現在osimertinibは一次治療から使用できるようになったが,C797Sといった遺伝子変異による耐性が生じることが報告されている3).このようなEGFR-TKI耐性メカニズムの解明による新規の薬剤の開発に伴って,再生検が必要となった.確実な組織採取が可能である外科的生検の意義は大きいと思われる.しかしながら,これまでEGFR-TKI耐性獲得後の外科的生検に焦点をあてた報告は少ない4).そこで,EGFR-TKI耐性獲得後に外科的生検でT790M遺伝子変異を検索した症例の臨床的特徴を解析し,外科的生検の臨床的意義を検討することとした.