著者
秋田 幸彦 高橋 里美 西山 桂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.53-58, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

平成20年の学習指導要領改訂により、中学校第1学年理科「身の回りの物質」の単元で、全く新しい単元として代表的なプラスチックの学習が導入された。教科書でもプラスチックの取り扱いは様々であり、性質を調べるための実験方法にも違いが見られた。そこで本研究では、プラスチックの性質と用途を結びつけることのできる実験方法として、曲げやすさ、割れやすさ、薬品耐性、熱耐性に注目した実験を提案した。また、実験を取り入れた指導計画を作成し、授業実践を行ったところ、教科書をもとにした実験方法に比べ、生徒の理解度が高くなった。
著者
島田 和佳 半田 政志 近藤 丘 佐藤 伸之 吉田 浩幸 岡田 克典 松村 輔二 高橋 里美 薄田 勝男 羽隅 透 谷田 達男 藤村 重文
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.39-43, 2000-01-15
被引用文献数
4

胸骨切除・再建を要した前縦隔脂肪肉腫の一手術例を経験したので報告する.症例は79歳男性で, 集団検診において, 右肺門部の異常陰影を指摘され精査加療目的で紹介入院した.良性縦隔腫瘍を疑い手術を行ったが, 術中所見にて前胸壁に浸潤を認めたため, 縦隔腫瘍摘除術並びに胸骨・肋骨合併切除を行った.胸壁再建にはMarlex meshでサソドイッチしたレジン板(methyl methacrylate resin)を用いた.術後経過は良好であったが, 術11カ月後に多発転移, 局所再発のため死亡した.脂肪肉腫は, 縦隔に発生することは稀であるため, 文献的考察を加えて報告する.
著者
高橋 里美
出版者
九州大学
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.109-128, 2000

1970年代後半、 第二言語習得における母語転移研究は新しい局面を迎え、それまでの母語転移の発生を確認することのみを目的とした研究(transfer study)に代わり、どのような条件の下で母語第二言語コンテクストへ転移しうるのかを探る研究(transferability study)に焦点が当てられるようになった。しかし、第二言語習得の一領域としての中間言語語用論では、90年代前半まで、母語転移があるのかどうか、あるとすれば何が転移されているのかという研究が大半を占め、母語転移の可能性を探る研究にはほとんど関心が寄せられてこなかった。本研究では、中間言語語用論における母語転移の研究を概観し、これを基に今後の研究課題について考察する。具体的には、母語転移の発生の有無に焦点を置いた研究を、社会語用的母語転移(sociopragmatic transfer)と語用言語的母語転移(programalinguistic transfer)の各視点から概観する。その後、語用論レベルでの母語転移の可能性を暑かった研究を紹介し、その調査研究方法等を考察する。最後に、これまでの研究を踏まえ、中間言語語用論の領域において今後必要と思われる研究課題を具体的に掲示する。
著者
佐藤 雅美 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 薄田 勝男 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 永元 則義 藤村 重文
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.638-642, 1993
被引用文献数
15 5

悪性中皮腫11例を対象に進展再発様式を検討したその結果, 血行性転移のみの例は無くリノハ行性転移のみの形態をとった例か4例, 血行性およひリノハ行性転移か4例見られたまた術創, 穿刺部位の播種か各1例, 腫瘍か臓側胸膜に浸潤したために発症したと考えられる気胸か4例見られた組織学的に肺門肺内リノハ節を検索しえた3例すへてに転移かみられた肉眼的に完全に切除されたと考えられた症例ては1例を除くと初再発部位は縦隔リノパ節, 術創, 術側胸水と局所再発の形態をとり全例6ヵ月以内に再発していたこれらの事より悪性中皮腫に対しては肺門, 縦隔をも加えた系統的なリノハ節郭清や術中の胸腔内洗浄, 術衣, 手術器械の交換なとを考慮すへきと考えられたまた高齢者の気胸症例ては本疾患を念頭におくへきと考えられた
著者
高橋 里美 園田 睦 山田 隆治 福満 智代 丸目 弥生
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1500, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】パーキンソン病(以下PD)の非運動症状は,認知機能障害・精神症状(抑うつ・幻覚)・アパシー・自律神経障害等があり理学療法の実施やQOLの妨げとなっている。PDでは黒質-線条体ドパミン系と病期の進行と共に中脳-皮質-辺縁系ドパミン系の2つのドパミン系に変性が起こる。後者の投射系は前頭葉腹内側部,扁桃体,帯状回等に投射されている事から前頭前野の機能異常が起こり,認知機能や報酬,意思決定等に影響を及ぼすと考えられている。近年,運動療法で認知機能や抑うつの改善が報告されているが,PD患者の非運動症状に対する運動療法については報告が少ない。今回の研究は,PD患者の非運動症状の中で,特に認知機能,抑うつ,アパシーに着目し運動療法での変化を検討する事を目的とした。【方法】対象はPD患者11名(男性3名,女性8名,71.6±9.2歳,Hoehn-Yahr分類のStageII8名,III2名,IV1名)とした。(罹患期間は5年未満6名,9~11年4名,26年目1名であった。)評価は,認知機能にはMini Mental State Examination(以下MMSE),抑うつには自己評価式抑うつ性尺度(以下SDS),アパシーにはやる気スコアを使用し,運動療法介入の開始時及び4週後で行った。運動療法はストレッチ・筋力増強運動・バランス運動・歩行運動・有酸素運動とした。運動療法の介入時間は,外来患者は週3回20~40分,入院患者は週5~6回約60分実施した。有酸素運動はエルゴメーターまたは自由歩行を約20分実施した。統計処理はWilcoxon符号付順位和検定を使用し,運動療法介入前後での比較を行い,有意水準は5%未満とした。【結果】MMSEでは開始時24±3.7点,4W時25.5±2.8点であり有意な差は認められなかった(p=0.06)。SDSでは開始時45.9±6.5点,4W時39.7±8.6点であり有意に小さい値となった(p<0.01)。また,やる気スコアでは開始時14.1±7.1点,4W時9.8±7.0点であり有意に小さい値となった(p<0.01)。【考察】今回の結果でMMSEでは有意な差は認められないものの運動療法介入によって認知機能の改善があることが示唆された。先行研究では運動療法においてドパミン細胞が存在する黒質でのグリア由来神経栄養因子(以下GDNF)生成細胞の発生を誘導する事が示されている。また運動療法において脳由来神経栄養因子(以下BDNF)やGDNFなどの神経細胞の成長に必要な神経栄養因子が増加する事や,海馬萎縮の抑制・容量の増加が報告されている事から,認知機能の改善にはこれらの神経栄養因子が関与している事が示唆される。また,SDSにおいては有意に小さい値となり,うつ症状の改善を認めた。抑うつにおいては,前頭前野において報酬系の役割もある事から,この報酬系処理が運動によるドパミンの放出促進に働き,また,うつ病患者への有酸素運動はセロトニン代謝の賦活によるうつ症状の改善の報告から,運動療法介入により,うつ症状の改善に繋がったと考えられる。運動療法によりGDNF,BDNFの増加で栄養サポートメカニズムを通してドパミンシステムの可塑性の促進に繋がり,ドパミン系へ影響を及ぼしPD患者の認知機能・抑うつが改善したと考えられた。やる気スコアでは運動療法介入後に有意に小さい値となり,アパシーの改善を認めた。PD患者におけるアパシーは,ドパミン等の神経伝達の異常や前頭葉-基底核ネットワークでの障害で起こるとされており,これらにもドパミン系への影響により改善したと思われる。運動療法を施行することで認知機能,抑うつ,アパシーが改善し,理学療法への関心や意欲の向上をもたらすことで,理学療法介入が円滑に実施可能となった。【理学療法学研究としての意義】PD患者における運動症状に注目しがちであるが,理学療法を施行するうえで非運動症状による阻害因子の影響は大きい。そしてPD患者の非運動症状に対して薬物療法による治療エビデンスが殆どであり,本研究の結果から運動療法介入による非運動症状の改善が期待され,理学療法の発展に寄与するものと考える。

1 0 0 0 OA 包弁証法

著者
高橋里美 著
出版者
理想社
巻号頁・発行日
1942
著者
薄田 勝男 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 佐藤 雅美 太田 伸一郎 永元 則義 本宮 雅吉 藤村 重文
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
呼吸器外科 : 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09174141)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.394-400, 1991-05-15

10例の乳糜胸(外傷性7例,特発性3例)を対象に治療法を検討した.外傷性乳糜胸は全例手術後(肺癌5例,食道癌1例,縦隔平滑筋腫1例)に発症し,1日の乳糜漏の最大量は150〜1650ml(2.4〜36ml/kg)であった.再開胸術を施行した6例の乳糜漏のコントロールは良好であった.外傷性乳糜胸の場合,成人例で1日17ml/kg以上の乳糜漏を示すものに手術療法の適応がある.特別性乳糜胸は3例とも女性で,両側性が2例,左側が1例であった.両側性乳糜胸のうち,開胸術・中心静脈栄養法・胸腔内持続ドレナージ等の積極的治療を施行した1例は術後6年7ヵ月後生存中であるが,低脂肪食・胸腔穿刺・胸膜癒着療法等の保存的治療のみを施行した1例は,著明な拘束性換気障害を合併し3年後死亡した.特発性乳糜胸では,保存的治療で拘束性換気障害を招く前に,十分な検索を行ったのち積極的に手術療法を選択すべきである.
著者
高橋 里美
出版者
九州大学言語文化部
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
no.10, pp.51-75, 1999

1940年代から60年代にかけてのアメリカ構造主義言語学と行動主義心理学の影響下で栄華を誇った対照分析仮説(Contrastive Analysis Hypothesis)は、第二言語習得における母語の役割(母語転移・母語干渉)を最重要視する研究課題であった。しかし、1970年代初頭の合理論的立場(rationalist position)の台頭で次第にその勢力は失われ、代わりに人間の認知活動に焦点を当てた研究基盤(cognitivist paradigm)が打ち立てられた。この新たな研究基盤はさらに2つのグループに分類され、主として北米を中心に創造的構成仮説(Creative Construction Hypothesis)を、そして、ヨーロッパを中心に中間言語仮説(lnterlanguage Hypothesis)を第二言語習得研究の新研究課題として提唱する派が結成された。この2つの仮説においても、第二言語習得における母語転移の問題が継続して扱われた。特に、創造的構成仮説支持派は、当初、母語の影響はほとんどありえないとする立場をとったが、1970年代後半になると、第二言語の習得において母語は必ず何らかの役割を果たすとする立場をとるようになった。その多くはどの言語にも普遍に見られる発達過程を第二言語習得の中枢過程とする一方で、どのような条件の下でどのような影響を母語が及ぼすかを研究の対象とした。一方、ヨーロッパでは、母語の役割についての学習者自 身の知覚に焦点を当てた研究が盛んになった。本研究は、これら70年代後半以降の新しい認知研究の枠組みで、第二言語習得における母語転移がどのように扱われてきたかを概観する。そして、これを基に、今後の母語転移に関する研究課題を考察する。
著者
永元 則義 斉藤 泰紀 佐藤 雅美 佐川 元保 菅間 敬治 高橋 里美 薄田 勝男 藤村 重文 仲田 祐 大久田 和弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.399-405, 1993

胸部X線写真無所見肺癌切除例149例中に認められた37例の隆起性病変の気管支における増殖特性を検索し, 術式の選択について考察した。肉眼所見から四型に分類できた。隆起した癌が内腔に全周性に増殖し気管支を狭窄しているもの(AC型 : 輪状狭窄型), 非全周性に一部が内腔に突出し, その周囲に表層浸潤を伴うもの(PSE型 : 進展性ポリープ型)と伴わないもの(LP型 : 限局性ポリープ型)があり, LP型はさらに有茎性(PLP型)と無茎性(NLP型)に分けられた。これら四型についてさらに組織学的に検索し, 気管支壁への深達性, 癌の広がり, リンパ節転移を検討した。以上の結果, (1)四型とも気管支鏡検査で隆起型をある程度推定しうる可能性がある, (2)PLP型, 横径小のNLP型およびPSE型は局在部位によっては区域切除やスリーブ葉切の適応となりうる, (3)AC型と横径大のNLP型は癌の根治性から考えて標準的な術式が妥当であろう, と考えられた。
著者
江口 研二 足立 秀治 池田 徳彦 柿沼 龍太郎 金子 昌弘 楠 洋子 佐川 元保 鈴木 隆一郎 早田 宏 祖父江 友孝 曽根 脩輔 高橋 里美 塚田 裕子 中川 徹 中林 武仁 中山 富雄 西井 研治 西山 祥行 原田 真雄 丸山 雄一郎 三澤 順
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.985-992, 2003-12-30
被引用文献数
1 1

・低線量CT肺癌検診を実施することにより,非受診者群に比較して,受診者群の肺癌による死亡を有意に減少させるという成績は現在まで証明されていない.・低線量CT肺癌検診は,高危険群および非高危険群に対して,胸部写真による検診よりも末梢小型肺癌(腺癌)をより多く発見し,発見肺癌の6〜8割は病期I期肺癌である.・低線量CT肺癌検診では,受診者の被曝リスクを低減させるために,撮影条件,画像描出条件など読影環境を整備することが必要である.・低線量CT肺癌検診は,他のがん検診と同様に,検診の運営に際して,精度管理とその維持が必要である.・低線量CT肺癌検診の受診者には,検診一般の説明だけでなく,現状でCT検診の有用性に関するエビデンスの内容および想定される有害事象を含めて,説明と同意(インフォームドコンセント)を行うべきである.・医療経済学的な面も併せて,低線量CT肺癌検診の至適なあり方を確立するためには,解析可能な精度の高い実績を集積する必要がある.・本稿の低線量CT肺癌検診のあり方については現行の自治体検診時のCT検診,職域検診のみならず,人間ドックでのCT検診も念頭に置いたものである.