著者
半田 淳子
出版者
国際基督教大学 日本語教育研究センター
雑誌
ICU 日本語教育研究 = ICU Studies in Japanese Language Education (ISSN:18800122)
巻号頁・発行日
no.9, pp.3-12, 2013-03-31

本研究は、上級の日本語学習者を対象に、日本人の名字ベスト200 に関して、難易度と正答率を調査したものである。具体的には、中国・台湾・韓国からの留学生16 名に、ベスト200 の名字の読み方を記述してもらった。その結果、1)ベスト50 の名字の正答率は高いが、下位になるほど正答率が下がるわけではない、2)正答率が低い名字に使用されている漢字は、上級レベル以上の漢字とは限らない、3)名字に関する知識と滞在月数には、相関関係が認められない、以上のことが明らかになった。日本語学習者にとって日本人の名字が難しいのは、漢字の難易度に原因があるのではなく、音読みと訓読みの使い分けや濁点の有無の判断に加え、名字に特有の読み方や例外の多さが関係している。名字を正しく読めることは、日本での就職を希望する留学生にとって重要なことであり、今後は漢字の指導にも積極的に取り入れていくべきである。