著者
三上 京子
出版者
国際基督教大学
雑誌
ICU日本語教育研究 (ISSN:18800122)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-63, 2006

本研究は、豊かな表現力を持つ語群として日本語に豊富に存在し、日常生活において多用されるオノマトペ(擬音語・擬態語)に焦点をあて、初級終了から中級段階にある学習者がオノマトペを用いた様々な表現に触れることができるよう、日本語教育のための基本オノマトペの選定とその教材化の試案を提示するものである。基本語の選定に際し、始めにオノマトペとは何かというオノマトペ定義の問題を先行研究を概観しながら論じる。次に、日本語教育における基本語彙に関する文献をもとにして、日本語の初級・中級教科書および新聞記事、雑誌記事のコーパス、シナリオ集等の一般言語資料のデータも参考にしながら、日本語教育のための基本オノマトペを選定する。さらに、選定した語を学習・指導する際のリソースとして利用できるよう、基本オノマトペの教材化を試案として提示する。この教材化では、従来の辞書における語義説明では不十分であった点を改めるべく、『コウビルド英語学習辞典』をモデルとして、文脈を伴った長い例文の中でその語の意味を記述するという方法を採用する。また、オノマトペは書き言葉より話し言葉においてより多く用いられるということから、日常的な場面の中でオノマトペが使われている「会話例」も提示する。この基本オノマトペの教材化の一部は、国立国語研究所e-Japanのインターネットサイト(http://jwehkokkerLgo.jp/gitaigo/index.htm1)において公開中である。
著者
二宮 理佳
出版者
国際基督教大学
雑誌
ICU日本語教育研究 (ISSN:18800122)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.22-42, 2004

本稿は、初中級のクラスにおける本活動、「日本語によって観客を笑わせる」ことを課題の中心に据えたスキット活動を情意・動機づけの側面から検討する。学習者は過去6回の実践において積極的な取り組みを見せ、高い動機づけが認められた。そこで情意面・動機づけに効果的な役割を果たした要因を探るため、本活動の過程及び結果を、教師の観察と学生の感想から分析、そして課題である「笑い」の役割及び機能の分析・考察した結果、高い動機づけを引き出した要因と、「笑わせる」という課題の中で「笑い」の果たした6つの役割(課題への動機づけ・真の感情の喚起・課題の達成の可視化他)が明らかになった。課題の中心に「笑い」を据えたことが、動機づけに有効に作用し、学習の活性化に寄与していたのではないかと考えられる。最後に動機づけの高いクラス活動をデザインする上での有意な視点7点を提案する。