著者
半田 高 大垣 智昭
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.145-154, 1985
被引用文献数
4 14

日本原生のものを含めたカンキツ属35, キンカン属5種•品種について, その42形質を調査し, 大型計算機を用いた多変量解析を行った. 多変量解析は, Qモードクラスター分析法, 主成分分析法併用クラスター分析法,非線形マッピング法及び数量化理論第3類の計4法について各計算条件を決定した後に行った.<br>非線形マッピング法では良い結果は得られなかった.また, 数量化理論第3類による分析が最も良い結果を示し, クラスター分析2法も条件を決定したことにより良い結果が得られた.<br>シトロン, マンダリン及びブンタンは, カンキツ属の中で比較的初期に分化したと考えられる. グレープフルーッとハッサクは, 極めてブンタンに近い形態であった. マンダリン類は, 形態的な幅広い変異性を示した. さらに, ナツダイダイ, キクダイダイ, イヨ, ヒュウガナツ及びカブスは, スイートオレンジに近い傾向を示した. ヒメレモンは, レモンやラフレモンとは遠い位置になった. ベルガモットは, ライムよりもサワーオレンジやシトロン, ブンタンに近かった. シキキツは, 明らかにマンダリンとキンカンの中間に位置した. マメキンカンは他のキンカンとはかなり違った形質であった.
著者
小林 伸雄 竹内 理恵子 半田 高 高柳 謙治
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.611-616, 1995-12-15
被引用文献数
8 12

本研究では, 一般にDNA抽出が困難とされる木本性植物のツツジ属からのDNA抽出について検討を加えた後, 最近多くの植物で利用されているRAPD (Random Amplified Polymorphic DNA) 法を用いたツツジ品種の同定を試みた.<BR>ツツジ亜属の種群および同亜属を母種とするッッジ品種ではSDS法およびCTAB法によるDNA抽出が困難であったが, 改変CTAB法では全種からDNA抽出が可能であった.<BR>RAPD分析では, 100種のプライマーについて検索したところ, 16種で鮮明な多型バンドが得られ, 特に多くの多型を検出できた2種のプライマー (OPK-19, 20) を品種同定に用いた. 江戸キリシマ (9品種) およびクルメツツジ (14品種) の品種群では, これらのプライマーで得られた多型バンドにより, すべての供試品種を識別できた. また, サツキ品種では'晃山'とその枝変わり品種との識別が可能であった.以上のような結果から, ツツジ品種の同定技術としてRAPD法を適用できることが示唆された.