著者
小林 伸雄 竹内 理恵子 半田 高 高柳 謙治
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.611-616, 1995-12-15
被引用文献数
8 12

本研究では, 一般にDNA抽出が困難とされる木本性植物のツツジ属からのDNA抽出について検討を加えた後, 最近多くの植物で利用されているRAPD (Random Amplified Polymorphic DNA) 法を用いたツツジ品種の同定を試みた.<BR>ツツジ亜属の種群および同亜属を母種とするッッジ品種ではSDS法およびCTAB法によるDNA抽出が困難であったが, 改変CTAB法では全種からDNA抽出が可能であった.<BR>RAPD分析では, 100種のプライマーについて検索したところ, 16種で鮮明な多型バンドが得られ, 特に多くの多型を検出できた2種のプライマー (OPK-19, 20) を品種同定に用いた. 江戸キリシマ (9品種) およびクルメツツジ (14品種) の品種群では, これらのプライマーで得られた多型バンドにより, すべての供試品種を識別できた. また, サツキ品種では'晃山'とその枝変わり品種との識別が可能であった.以上のような結果から, ツツジ品種の同定技術としてRAPD法を適用できることが示唆された.