著者
南 宗孔
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.1268-1270, 1962-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

Fries反応の速度論的研究のため,反応生成物o一およびかオキシアセトフェノンの水溶液での2,4一ジニトロフェニルヒドラジンDNPによる定量法について,種々実験条件を検討したφかケトンでは,溶液申DNPの過剰量がつねに1×10-3N以上の濃度をたもつ必要がある。ケトンの濃度が約1×10-4以下の場合沈殿が生成されない。塩酸濃慶が2N以上では沈殿速度が急激に低下する。また温溶液からでは沈殿量は不足し,再現性もよくない。一方,o一ケトンではより少ないDNP過剰0.5×;10-3N,低いケトン濃度0.3×10-4Nでも十分定量的沈殿を与える。以上のようなDNP過剰の必要な理由は(とくにかケトンで)ヒドラゾン生成の平衡または反応速度に関するもののみではない。より根本的に,その沈殿生成過程での一つには塩化水素も関与する化学反応機構,また他にそれとからんでとくに微小濃度よりの結晶の成長機構などにも関係することと解するのがより妥当のようである。