著者
藤原 淳 森本 賢治 藤原 俊介 西村 渉 田中 源重 南 敏明
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.14-0014, (Released:2014-09-30)
参考文献数
9

硬膜外ブロック後の合併症の頭痛には,硬膜穿刺後の髄圧性が一般的であるが,硬膜下腔やくも膜下腔に迷入した空気による気脳症由来も知られている.今回,生理食塩水を用いた抵抗消失法での腰部硬膜外ブロック後に気脳症を生じた症例を経験したので報告する.症例は70歳代,女性.腰部脊柱管狭窄症増悪のため,腰部硬膜外ブロックを施行した.ブロック施行後,突然激しい頭痛を訴えたため,頭部CT撮影を行った.橋から延髄にかけて空気像を認め,1週間の入院加療となった.頭蓋内へは少量でも空気が迷入すると集積する部位によっては頭痛が引き起こされる.空気を用いた抵抗消失法による硬膜外ブロック施行では気脳症発症を助長するとの報告があり,当院では生理食塩水を用いた方法を推奨している.しかし,生理食塩水を用いた手技においても気脳症を発症したことから,施行時,穿刺方法以外に,穿刺部位や硬膜外ブロックの適応についても十分な検討が必要である.
著者
宮崎 有 駒澤 伸泰 城戸 晴規 兵田 暁 藤原 俊介 南 敏明
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.47-50, 2017

小児の複合性局所疼痛症候群(CRPS)に対して末梢神経ブロックを施行し,症状改善を認めた症例を経験したため今回報告する.症例は13歳,女性.転倒による右足関節の捻挫に対し,近医でギプス固定を受けた.その後3カ月間受診せず,両松葉杖での免荷歩行をしていた.ギプス脱後,再度3カ月間受診をせず,右足部の腫脹,痛み,運動障害を認めたため,総合病院整形外科を受診し,CRPSと診断された.入院のうえ加療するも痛みによりリハビリテーション困難となり,当院ペインクリニック科に紹介となった.持続硬膜外麻酔を施行するも,リハビリ中の体動による抜去を繰り返したため,持続坐骨神経ブロック,大伏在神経ブロックを併用し,症状の改善を認めた.さらに病院関係者だけでなく両親および学級担任を含めた心理社会的サポートを追加することで,運動療法を継続でき寛解を得た.小児のCRPSに対して心理社会的なサポートおよび末梢神経ブロックと運動療法の併用は有効な可能性がある.