著者
南 里佳子 玉浦 有紀 赤松 利恵 藤原 恵子 酒井 雅司 西村 一弘 角田 伸代 酒井 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.198-209, 2020-10-01 (Released:2020-11-09)
参考文献数
25

【目的】維持血液透析患者の食事・水分管理アドヒアランス改善に向けて,関連する信念を評価する尺度を作成し,その信頼性と基準関連妥当性を検討する。【方法】3都市4施設で外来維持血液透析を受療中の患者378人を対象に,質問紙調査を実施し,食事・水分管理の信念に関する40項目と,主観的指標による食事・水分管理アドヒアランス状況をたずねた。同時にカルテから,属性とドライウエイト,透析間体重増加率,生化学検査データを収集した。探索的・確証的因子分析により,信念尺度の因子構造を検討した後,抽出された下位尺度の信頼性(クロンバックα)と基準関連妥当性(客観的/主観的指標によるアドヒアランス状況との関連)を確認した。【結果】尺度作成の結果,食事・水分管理の実施に関する信念として「食事管理の障害」「食事に対する懸念」「環境からの影響」「楽観性」の4下位尺度17項目,動機に関する信念として「重要性」の1下位尺度8項目が得られた。クロンバックαは0.531~0.830と概ね良好な値だった。また,各下位尺度の得点は,客観的または主観的指標によるアドヒアランス状況(良好群・不良群)と妥当な結果がみられ,基準関連妥当性が確認された。【結論】維持血液透析患者の食事・水分管理に関する信念尺度として,実施と動機に関する信念の2つの尺度の信頼性と基準関連妥当性を確認した。