著者
金子 恵美 和田 智之 南川 洋子 井上 優
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.140, no.4, pp.177-182, 2012 (Released:2012-10-10)
参考文献数
34
被引用文献数
3 4

アイファガン®点眼液0.1%(AIPHAGAN®)は,アドレナリンα2受容体作動薬であるブリモニジン酒石酸塩を主成分とした新規の緑内障・高眼圧症治療薬である.その眼圧下降効果は,房水産生の抑制およびぶどう膜強膜流出路を介した房水流出の促進という2つの機序に基づくと考えられている.このことからアイファガン®点眼液0.1%は,房水産生を抑制するアドレナリンβ受容体遮断薬(β遮断薬)や房水流出を促進するプロスタグランジン関連薬(PG関連薬)等との併用効果も期待できる.第III相臨床試験では,原発開放隅角緑内障(広義)および高眼圧症患者でPG関連薬の併用におけるさらなる眼圧下降効果が,また52週間の長期投与試験でも安定した眼圧下降効果が示されている.承認時までに実施した臨床試験における副作用は,総症例444例中122例(27.5%)であった.主な副作用は結膜炎(アレルギー性結膜炎を含む)38例(8.6%),点状角膜炎30例(6.8%),眼瞼炎(アレルギー性眼瞼炎を含む)20例(4.5%)および結膜充血17例(3.8%)であった.なお,本剤では点眼剤の保存剤として本邦で初めて亜塩素酸ナトリウムを使用している.