著者
原 洪太
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.593-599, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
26

1967年から1970年にかけて一楽照雄によって5編の論考として発表された農家による住宅供給を意図する農住都市構想はその後いくつかの施策として結実する。本稿では、中でも農住都市構想の概念をよく取り入れた農林省による農村住宅団地建設計画、およびその下で策定された柿生地域農村住宅団地建設基本構想を取り上げる。そして一楽照雄が提唱した農住都市構想の内容を整理し、比較可能な枠組みを作ったうえで、その構想と農林省の助成事業である農村住宅団地建設計画との関係性を、施策理念およびその実践としての具体地域での計画内容という二つの視点から見る。両者が共に農住都市構想の概念を色濃く反映する中でも、農住都市構想の要素のうち、助成事業段階では反映しきれていなかった部分まで反映する計画を立案していた地域が存在していた。