著者
田中 裕人 外崎 菜穂子 望月 洋孝 間々田 理彦 原 珠里
出版者
東京農業大学農業経済学会→食料・農業・農村経済学会 (121号-)
巻号頁・発行日
no.118, pp.73-83, 2014 (Released:2014-07-07)

本研究は,新潟県佐渡市の訪問者を対象として,AHPを適用して,トキの野生復帰に関する効果の評価を行った。トキの野生復帰によって期待できる効果として,「トキを中心とした生態系の保全」,「トキを活用した環境教育」,「観光客の増加」,「米などの農産物の販売増加」の4項目を提示した。AHPによる分析の結果,「トキを中心とした生態系の保全」の評価が最も高い反面,「観光客の増加」,「米などの農産物の販売増加」の評価が低く,その差も大きかった。また,本研究では,佐渡に関する有効な情報発信手段についての検討を行った。現時点において,訪問客は佐渡に関する情報発信において,おおむね満足している傾向が見られた。これらのことから,今後は,トキの野生復帰と環境保全型農業が結びついているということを含めて,トキの野生復帰に関する背景や現状も含めた適切な情報発信が重要になると考えられる。