著者
原 真範
出版者
東邦大学医学会
雑誌
東邦医学会雑誌 (ISSN:00408670)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.105-107, 2021-09-01

総説日本が直面する少子高齢化に伴う労働人口減少を背景に,「働き方改革関連法」が2019年4月から施行され,2024年4月からは医師の時間外労働規制が開始予定となっている.医師の働き方改革に関する政府検討会は,基本となる勤務医の時間外労働の上限水準「(A)水準」を設け,臨時的な必要がある場合は月100時間,年960時間と定めた.外科系診療科,産婦人科,救急科,臨床研修医においては,現状で約半数の医師がこの水準をオーバーしており,規制により医療の質の維持と労働時間短縮という相反するミッションが課せられることになり,十分な医師の確保が必要になる.大学病院の勤務医は,診療・教育・研究・地域医療支援と多くの任務を抱えており,当院においても医師の働き方改革を実現するためには,ワーキンググループを構築し,業務の見直しと効率化を図り,多様性,柔軟性のある働き方を取り入れ労働力を確保することが必要である.