著者
原田 桂子 有田 憲司 西野 瑞穗
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1017-1023, 1995-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
8

アニメーションビデオテープをテレビで見せながら診療する方法が,3歳0か月から5歳11か月の小児の歯科診療脇力度を向上させるのに有効であるか否か,実際診療時の適応性ならびに予測した適応性と実際の適応性との相関性から分析した.適応性の予測は,小児の歯科受診歴,歯科診療意識調査,待合室から診療台で診療を受けるまでの行動観察,母親のY-G性格検査,これらから成る36アイテムにより判別予測した.結果は次のとおりであった.1.診療中の行動が適応と判定された小児はテレビを見せた群19人中の13人,68.4%,テレビを見せなかった群18人中14人,77.8%であった.2.テレビを見せた19人のうち,適応と予測された12人で実際行動も適応であった小児は10人,不適応と予測された7人で実際行動も不適応であった小児は4人で,的中率は73.7%であった.一方,テレビを見せなかった18人のうち,適応と予測された12人で実際行動も適応であった小児は10人,不適応と予測された6人で実際行動も不適応であった小児は2人で,的中率は66.7%であった.以上の結果から,診療協力度不適応の就学前小児にアニメーションビデオテープを見せることは,診療協力度の向上に効果はないと結論された.