著者
山下 芳典 原田 洋明 桑原 正樹 半田 良憲 窪田 真喜子 大河内 友美 宮武 志保 井手 孝 白野 容子 高松 理央 槙田 香子 高濱 みほ 中尾 淳一 道広 博之 峯本 譲
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1339-1345, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高齢者肺がんはサルコぺニア,COPDをはじめさまざまな併存疾患を有する点が課題であり,短い術前の期間をいかに効率的に利用するか,消化管は扱わない手術である利点をいかに活用するかが重要な対策と考えられた.胸腔鏡による内視鏡手術を軸とした術前の包括的リハビリテーションと術後の超早期離床・経口摂取を加えたinterdisciplinary team approachによるA-ERAS法による周術期管理を紹介した.高齢者肺がんに対し,包括的リハビリテーションにより術後合併症が減少し,胸腔鏡手術により術後創部痛の軽減から早期の退院が可能となり,術当日の超早期離床・経口摂取により術後早期のADLが向上した.A-ERAS法は肺がん術後の回復促進の観点から臨床効果と忍容性が確認され,すでに当院では臨床の場で実践されている.
著者
松岡 英仁 坪田 紀明 西尾 渉 阪本 俊彦 原田 洋明 指方 輝正
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.329-332, 2001-08-20

第1例は57歳女性.正岡II期の混合型胸腺腫に対し切除術を行った.併発する赤芽球癆は術後速やかに改善した.第2例は58歳男性.併発する正岡II期の混合型胸腺腫を切除した後, ステロイドホルモンの投与を行ったが赤芽球の上昇は認めず, サイクロスポリンに変更後改善した.第3例は75歳男性.赤芽球癆を伴わない正岡III期のリンパ球優位浸潤型胸腺腫の切除後2年目, 頚部B-cell非ホジキン悪性リンパ腫の診断で放射線治療を受けた.その4年後, 赤芽球癆を発症し, サイクロスポリンの投与で改善した.胸腺腫の完全切除術後に併発する赤芽球癆の改善がない場合, 速やかにサイクロスポリン1mg/kg/日を開始するべきである.また胸腺腫切除後, 遠隔期に赤芽球癆を発症する例があり, この場合にもサイクロスポリンの投与は有効である.