著者
山口 佳昭 原田 英男 太田 靖
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.3-3, 2004

日本の中部地域では,太平洋プレートの沈み込みの深度が増加すると(> およそ160 Km,浅間火山(天仁噴火),妙高火山,北アルプスの白馬風吹岳,立山火山,雲の平火山),高K2Oマグマバッチが生成する.高K2Oマグマバッチの証拠が,次のように示される.1)アブサロカイト-ショショナイト組成の高K2Oメルト包有物がカンラン石や単斜輝石の斑晶中に捕獲されている.2)火山岩の石基が不均質である.隠微晶質のアノーソクレース-カリ長石と高K2Oガラスで構成される高K2Oバッチ(領域)が見いだされる. こうした高K2Oマグマバッチの証拠は,私たちが調べた限りでは,東北日本-関東の火山フロント(樽前火山,クッタラ火山,有珠火山,岩手火山,那須火山など)や 伊豆-箱根(富士,箱根,三宅島など)の火山の噴出物からはまったく見いだされず,太平洋プレートの沈み込みの深い地域の火山に限られる.この高K2Oバッチは,背弧側に向かうマグマ(全岩組成)の系統的なK2Oの増加に寄与していると期待する.