著者
原田 走一郎
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.103-117, 2016-10-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
14

南琉球八重山黒島方言には二重有声摩擦音が観察される。本稿は、この二重有声摩擦音について以下のことを述べるものである。(1)黒島方言には二重有声摩擦音と単子音の有声摩擦音との音韻的対立を認める(2)基底に二重有声摩擦音をたてる必要がある(3)二重有声摩擦音の実現には揺れがあるが、それは言語類型論的傾向に合う二重音と単子音の有声摩擦音は、複合語の後部要素の先頭にたった場合にふるまいが異なる。具体的には、二重音のほうは無声化することがあるのに対し、単子音のほうは無声化しない。このような形態音韻的差異があるため、これらは音韻的に対立していると考えられる。また、言語内事実(動詞活用と母音同化の例外の除去)と言語類型論的傾向から、二重有声摩擦音を基底にたてるべき理由についても述べた。
著者
平塚 雄亮 原田 走一郎
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-13, 2012-01

本稿では,鹿児島県北薩方言のセンという文末詞について,当該方言話者への面接調査を通して記述を行った。文末詞センは,コピュラ/zyar/の否定疑問形式である「〜ジャラセン」を出自としており,ジャラセンはジャーセン,ジャッセン,ジャセンと変化し,「コピュラ(ジャー/ジャッ/ジャ)+セン」という分析によってセンが析出され,他の用言にも接続できるようになった(文末詞化した)と考えられる。また,否定の用法はもたず,全年齢層に共通してみられる基本的な用法は同意要求であるが,若年層では確認要求としても用いられるようになるという用法面の変化も起こっている。これは,「聞き手の判断をたずねるという意味をもつ形式をわざわざ判断を下す必要のない環境に適用することによって,話し手の発話を追認させる,という効果を生み出す」というプロセスで,同意要求の用法が拡張したものである。
著者
原田 走一郎 ハラダ ソウイチロウ
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2016

14401甲第18322号