著者
及川 周
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.1-4, 1949

雪の多い地方の生活には, 他では見られない特殊な様式が衣食住の各方面に亘つてあらわれて居り, それば降雪期には勿論のこと, 雪の無い時期に於ても, 直接間接に多かれ少かれ雪と云うものに支配され影響をうけて居ることが多い。<BR>單に住まいの點から丈け見ても, 家の構造は雪につぶされない様にがつちりしたものになり, 雪の吹つ込みを防ぐ爲に窓口が少くなる。一面そのために家の中が暗くなるし, 換氣の具合も惡くなる。家の外側を藁や莚で雪圍することも他には見られないことである。住まい方の點から云つても, 雪國の冬はどうしても蟄居の生活になり勝ちだし, 雪下ろしと云う余分な特殊の勢働るある。炉と云うものも雪國に於ては特別の趣がある。<BR>ここには主として保温, 防濕乃至雪國の人の温感などと云う立場から, 雪圍や炉邊や就眠のことに就いで調べた成績を述べで見たいと思う。