著者
及川 希 松井 理生 平川 浩文
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.79-87, 2013-06-30
参考文献数
13

北海道中央部に位置する大麓山(標高1,460 m)のハイマツ帯において,エゾナキウサギの自動撮影調査を4年間に6回,6月から10月までの間に時期を変えて行った.得られた写真167枚の撮影時刻に基づいて日周活動を分析した.エゾナキウサギは昼夜ともに活動していたが,6回中5回の調査で,日中より夜間の方が活発で,秋にはこの傾向が顕著だった.季節による日周活動の違いは日中の高い気温による活動抑制効果では説明できなかった.従来の報告にあった朝夕二山型の活動リズムも確認されなかった.本種を含め,ナキウサギ属の研究は日中活動が主であるとの前提で行われてきたように思われるが,この前提は見直しが必要である.<br>