著者
櫻井 基一郎 波木井 恵子 中川原 さつき 櫻井 裕子 村川 哲郎 及川 洸輔 城所 励太
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.40-46, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
5

2019年末から世界的に流行したSARS-CoV-2感染症(COVID-19)は母子間の垂直感染を積極的に示唆する所見には乏しい.しかし,出生時に母親がCOVID-19の疑いがある場合やSARS-CoV-2 PCRを検査中の場合,新生児は感染している可能性があると見なされ,院内感染防止のためにも出生直後からの感染対策が必要となる.感染症蔓延期におけるNICU病棟運営の現状と変更点を明確にすることで,今後の感染対策に活かすことを目的とする.入院症例に対して全例PCR検査を導入して以降,緊急事態宣言が解除されるまでの約1か月間におけるNICU病棟管理の変更点および,NICU病棟に入室し陰圧個室に隔離した新生児7名への対応や転帰を後方視的に調査した.院内感染防止のため,新生児蘇生は,個人防護具を装着した上で,母体から2m以上離れた開放型保育器で行った.蘇生後,児は直ちに閉鎖型保育器に収容後NICU内の陰圧個室へ搬送した.陰圧個室担当の看護師は専属とし,陰圧個室に1床入室につきNICU病床数は2床削減とした.父母の面会は交代制とし時間を制限した.対象となった母児にはいずれもSARS-CoV-2感染はなかった.感染症蔓延期におけるNICU病棟での感染対策を経験した.今回の経験をもとに平時から対策を想定しておくことで,今後の感染対策に活かすべきと考える.