著者
八代 仁 及川 秀春
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.238-241, 2016-05-20 (Released:2016-12-27)
参考文献数
4

2015年に世界遺産のひとつに指定された日本初の洋式高炉が釜石の地に作られた(橋野高炉跡)ことからもわかるように,岩手は古くから鉄の産地であった。岩手に鋳造技術が伝えられたのは今から900年以上も前,藤原清衡の時代とされている。北上川は石巻に注ぎ,海運で上方に通じていた。江戸時代からは南部藩の庇護のもとで湯釜の名品が生まれてきた。ここでは伝統を受け継ぐ南部鉄器に息づく先人の知恵を表面化学の視点から紹介したい。そしてこれらの知恵は新しい製品開発にも受け継がれている。