著者
須田 直人 友村 明人 安達 一典 長谷川 直哉
出版者
明海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

歯の移動に伴って誘発される侵害受容機構や口腔内の組織変性が定量可能な実験モデルを、ラットの歯を移動し刺激用電極を用いて開口反射を評価することにより構築した。このモデルにおいて歯の移動後に起こった歯の移動測の開口反射閾値の低下は、数日間継続し、7日後には非移動測と同程度になった。一方、圧迫測における破骨細胞による歯槽骨吸収は、移動開始数日後より活発になり移動距離も増加した。これらの変化は、矯正歯科における歯の移動に伴う症状や所見と近似していた。このように本動物モデルは、臨床的な歯の移動に伴う疼痛を再現し、発痛メカニズムの解明や分子制御を考える上で有用な評価系と考えられる。