著者
西堀 すき江 友松 滋夫
出版者
東海学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.17-25, 1987-07-20

市販缶詰17品種, 40銘柄について開缶後のスズ溶出量の変化を原子吸光分析法で測定し, 次のような結果が得られた。1.果物缶詰のpHは3.22(ミカン缶)〜3.82(モモ缶), 野菜缶詰は4.44(タケノコ缶)〜6.95(スィートコーン缶)であった。2.保存温度によるスズ溶出量の違いを果物缶で検討した結果, パインアップ缶では室温保存の方がやや溶出量が多くなったが, ミカン缶やモモ缶では顕著な差が認められなかった。3.ミカン缶, パインアップル缶において開缶後6時間まで急激なスズ溶出量の増加が認められた。24時間後には厚生省の許容基準の上限である150ppmに近すき, ミカン缶では1銘柄, パインアップル缶では2銘柄がユ50ppm以上であった。4その他の果物缶についてはミックスフルーツ缶のスズ溶出量が高くミカン缶, パインアップル缶と同様のスズ溶出量の変化を示した。モモ缶, サクランボ缶, ブドウ缶, ミツ豆缶からのスズ溶出量は2珪時問後も100ppm以下であった。5.各種野菜缶詰の中でギンナン缶の開缶直後のスズ溶出量は低かったが, その後急激なスズの溶出が生じ, 24時間後には260ppmを示した。アスパラガス缶は銘柄による差が大きかったが, 開缶後の変化は類似し, 24時間後もスズ溶出量の増加が認められなかった。