著者
友永 章雄 池田 雅彦 加藤 〓 大畑 昇
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.221-230, 2005-04-10
被引用文献数
7 6

目的: 本研究は夜間装着したオクルーザルスプリント上にできる咬合小面 (ファセット) を観察し, Sleep bruxism (以下SBと略す) の強さの評価指標とし, SBの強さと修復物脱落との関係を解明することを目的とした.<BR>方法: 1976年から2004年までにスプリントを装着した患者912名のうち422名を任意に選択し, その患者の修復物 (インレー, クラウン, 連結冠, ブリッジ) 3, 673個を調査対象とし, 脱落状態を調査した.SBの強さは評価用インクを塗布したスプリントを夜間装着させ, スプリント上のインクと咬合小面 (ファセット) の状態を観察する池田式分類で評価し, 経時的に修復物の残存率を調べた.B-0: ファセットなし, B-1: インクが剥げファセットが認められる状態, B-2: ファセットが削れている状態, B-3: ファセットが著しく深くえぐれている状態.<BR>結果: 修復物が脱落した人はB-1: 12.7%, B-2: 35.1%, B-3: 43.8%でSBが強いほど多く, 合着後早期に脱落し, B-1, B-2, B-3各群の15年後の脱落率は全修復物9%, 18%, 24%, インレー19%, 24%, 32%, クラウン5%, 12%, 13%であった.<BR>結論: 修復物脱落にはSBの強さが影響し, スプリントの咬合小面 (ファセット) 観察によるSB評価が修復物脱落の予後判定に有効であり, SBの力の抑制により脱落を減らせることが示唆された.