著者
河相 安彦 矢崎 貴啓 松丸 悠一 先崎 孝三郎 浅井 秀明 今道 康夫 伊藤 允人 杉村 華織 竹尾 藍 朱 一慶 伊澤 武志 大野 洋介 山本 史朗 小平 真倫亜 宗 邦雄 島 由樹 林 幸男 桑原 克久 小林 喜平
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.572-581, 2007-07-10
被引用文献数
3 5

目的: 本研究の目的は総義歯学の授業で講義型学習 (以下LBL) と問題解決型学習 (以下PBL) 双方を経験した学生の自己学習および臨床推理能力に関する教育効果と授業・教員に対する評価の両教育形式間での比較検討である.<BR>方法: 総義歯学の授業を平成15年度入学の学生に, 平成17年度3年次前期にLBL, 平成18年度4年次前期にPBLにて行った. PBLは5回にわたり, 毎回1症例についてグループディスカッションを行い, グループによるまとめを2回, 個人レポートを2回および全体発表を1回という予定で進行した. 全体発表終了後, 教育効果および授業・教員に関する27項目のアンケートを行った.因子分析により質問項目の類型を行い, 各質問項目についてLBLおよびPBLの比較を行った (Paired-t).<BR>結果: 因子分析より質問項目は4因子に類型された. LBLとPBLとの間で「学習態度」について7項目中4項目, 「臨床推理能力」について全項目, 「授業内容」について7項目中5項目, 「教員評価・そのほか」について6項目中2項目, 合計27項目中18項目 (66.6%) でPBLが有意に高い値を示した.<BR>結論: PBLはLBLに比べ自己学習および臨床推理能力の教育効果の向上に極めて有効で, 授業に関する評価も有意に高かった. 一方, 同様の授業を受けることに学生は後向きで, 消極性解消法の検討が必要であると示唆された.
著者
松下 恭之 佐々木 健一 郡 英寛 江崎 大輔 春田 明日香 古谷野 潔
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-9, 2008-01-10
参考文献数
41
被引用文献数
7 1

オッセオインテグレーションインプラントは, 表面性状の改善や埋入システムの確立により, 5年程度の中期経過では100%に近い生存率も報告されている. しかし一方で長期の使用に伴い, 破折などの機械的偶発症と支持骨の吸収などの生物学的偶発症が増加することが報告されている. この原因は多様だが, インプラントに付与した咬合から生じたオーバーロードが偶発症の主な因子のひとつとして上げられている。<br>インプラントの咬合において, オーバーロードを引き起こすと考えられるリスクファクターについて疫学研究と基礎的研究のレビューを通して, 現状を整理した.<br>天然歯とインプラントが混在する場合の咬合については, 当初被圧変位量の差を考慮すべきとされたが, 現在これを積極的に肯定する研究は少なく, むしろ被圧変位量の分だけ低くした咬合を付与した場合に, 顎関節や隣在歯などへの影響を危惧する報告も散見される. 現状では, 天然歯と同様の接触を与えても臨床的な問題は少ないと考えられる.<br>側方ガイドや咬合力の側方成分, カンチレバー, 広すぎる咬合面幅によるオフセットローディングなどの非軸方向荷重については, 曲げモーメントとして作用するため, 軸方向荷重よりもその影響は強いと思われる. しかしながら生物学的に影響ありとした疫学データは見られない.<br>天然歯とインプラントの連結については, メタ解析の結果により骨吸収へのリスクが示唆されている.
著者
Harukazu Kanehira Akinori Agariguchi Hisashi Kato Shigeki Yoshimine Hiroshi Inoue
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.375-380, 2008-07-10 (Released:2008-10-10)
参考文献数
49
被引用文献数
17 25

Purpose: To evaluate the causes of temporomandibular disorder (TMD) by examining the relationships between 3 major TMD symptoms, parafunction, and stress, a questionnaire survey was performed during dental examinations in corporations.Methods: The survey was performed using 6 questions on the following topics: 1. Trismus; 2. Joint noise; 3. Pain; 4. Clenching in the daytime; 5. Nocturnal bruxism; and 6. Stress.There were 3,225 subjects, 2,809 males and 416 females and the mean age of the subjects was 40.12 years. The relationships between questions 1 to 5 and question 6 were examined by the chi-square test.Results: There were significant correlations (question 1, p=0.001; questions 2-5, p<0.001).Conclusion: Clearly, there was an influence of psychological factors, such as stress, on TMD, and such factors were considered to play important roles in its etiology, progression, and treatment. The results of this study suggest that well-controlled studies of TMD are necessary.
著者
原田 美紀 猪子 芳美 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.733-740, 2004-10-10
被引用文献数
5 5

目的: 本研究は, 閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者に下顎前方位型口腔内装置 (PMA) を用い, 切歯点の移動と口腔咽頭腔前後径が直接関係するという仮説を検証し, PMAの治療効果を示す睡眠時の動脈血酸素飽和度を検討することである.<BR>方法: OSAS患者19名にPMAを適用し, PMA装着前と装着時における側方頭部X線規格写真撮影と動脈血酸素飽和度測定を行い, 側方頭部X線規格写真より, 口腔咽頭腔前後径 (PNS-AS, SPAS, MAS, IAS) と切歯点の移動量を計測し, 動脈血酸素飽和度より動脈血酸素飽和度低下指数 (ODI) 4%値および晦中飽和酸素濃度90%未満低下時間比 (CT<SUB>90</SUB>) を算出した.分析は, 切歯点移動量と咽頭腔前後径変化量についてはSpearmanの順位相関を, PMA装着前と装着時のODI4%値, CT<SUB>90</SUB>, 咽頭腔前後径についてはWilcoxonの符号付順位検定を用いて検討した.<BR>結果: 切歯点の前方移動量と口腔咽頭腔前後径のIAS部増加量との間に相関が認められた (r=0.61, p=0.01).PMA装着時のODI4%値とCT<SUB>90</SUB>は有意に減少し (p<0.01), 咽頭腔前後径のSPAS, MAS, IASは, 有意に増加した (P<0.01).<BR>結論: OSAS患者に対するPMA装着による下顎前方移動は, 口腔咽頭腔前後径を拡大させ, 動脈血酸素飽和度の改善に寄与することが示された.
著者
Hisashi Koshino Toshihiro Hirai Yoshifumi Toyoshita Yuichi Yokoyama Maki Tanaka Kazuo Iwasaki Toshio Hosoi
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
Prosthodontic Research & Practice (ISSN:13477021)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.12-18, 2008 (Released:2008-02-22)
参考文献数
17
被引用文献数
19 18

Purpose: The purpose of this study was to reduce the number of food items for ease of use, and to eliminate the influence of food preferences (likes and/or dislikes) on an earlier version of the food intake questionnaire method for evaluating the ability of mastication in complete denture wearers which had been previously developed by the authors.Methods: The subjects were 262 complete denture wearers (average age: 76.7±6.1 years old, male: 128 persons, female: 134 persons). The food intake questionnaire composed of a list of 35 food items which were used in the study. All subjects were asked to assign a mark to each type of food according to one of five categories (easily eaten, eaten with difficulty, cannot be eaten, do not eat because of dislike, have not eaten since starting to wear dentures). In order to reduce the number of the initial 35 food items in the questionnaire, the correlation coefficient of the masticatory score, representing the masticatory ability before and after elimination of foods, was examined in all the subjects. The masticatory performance (MP) was also evaluated by a sieving method in all subjects.Results: In the questionnaire with 5 categories composed of 25 foods, the reliability coefficient (Cronbach’s α) was 0.939. There was significant correlation between the masticatory score using the 35 food item list and the new masticatory score using the new 25 food item list (r=0.95, P<0.01). There was significant correlation between the MP using the sieving method and the N-MS using the 25 food item list (r=0.62, P<0.01).Conclusion: It was confirmed that the new food intake questionnaire method, with a revised 25 food item list, was both valid and reliable.
著者
齋藤 隆哉 小出 馨 浅沼 直樹 西巻 仁 植木 誠
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.195-202, 2002-04-10
参考文献数
32
被引用文献数
1

目的: 咬合採得および咬合調整を行う際の基準となる筋肉位に対して, 表情筋の緊張が及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 表情筋により口角を後方へ強く牽引したときの下顎の偏位を測定した.<BR>方法: 顎口腔系に機能異常を認めない被験者13名に座位で自然頭位をとらせ, アンテリアジグを装着し, 上下歯列の接触による影響を排除して実験を行った. 筋肉位で閉口した状態から口角を後方へ強く牽引したとき, その後さらにタッピングを行ったときの下顎の偏位を継続的に光学系非接触方式の三次元6自由度下顎運動測定装置であるナソヘキサグラフ®に改良を加えて測定し, 比較した.<BR>結果: 筋肉位と比較して口角牽引時には, 切歯点で後方へ平均0.18mm, 左側顆頭点で平均0.00mm, 右側顆頭点で後方へ平均0.04mmの偏位が認められ, 前後方向に大きなばらつきがみられた.筋肉位と比較して口角牽引状態でのタッピング時には, 切歯点で後方へ平均0.50mm, 左側顆頭点で後方へ平均0.25mm, 右側顆頭点で後方へ0.36mmの偏位が認められた.<BR>結論: 表情筋を緊張させることにより口角を後方へ強く牽引すると, 筋肉位に対して下顎は偏位を示し, 前後方向に大きなばらつきがみられた. 口角牽引状態でタッピングを行うと, 下顎は筋肉位より著明に後方へ偏位することが明らかとなった.
著者
平井 敏博 越野 寿
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.353-362, 2006-07-10
参考文献数
26
被引用文献数
2 5

歯科補綴学は生命科学や健康科学をベースとする実学であり, 人々の健康・福祉の向上に貢献する役割を担っている. そして, その臨床の特徴は, 齲蝕や咬合・咀嚼障害などの疾患や障害に対しての「予防」と「治療」の面と, 歯などの喪失により損なわれた形態的・機能的障害の改善や回復を目指す「リハビリテーション」の面を併せ持っていることである. 歯科補綴学研究は, 健康科学, 生命科学の視点からの種々の研究によって, 必ずや補綴歯科治療の健康・福祉への重要性を明確に証明するであろう. 三叉神経が関与する咬合・咀嚼と高次脳機能や生体情報伝達系との関係など, 脳研究の進展が期待されるところである. また, 人口動態からみても, 本学会の学術研究活動は, まさに21世紀に求められる主要な医療のための活動の一つであるといえる.<BR>補綴歯科臨床の観点からは, 診察法, 検査法を含む診断学の充実が望まれる. 診断には, 補綴治療後の機能回復の程度を予測することも含まれる. このためには, 咀嚼機能評価法とともに, 顎口腔系を構成する各器官・組織の評価法の確立が待たれるところである.<BR>社団法人としての本学会の公益・社会活動も重要である. 専門医のみならず歯科医師全体の診療能力の向上による良質な医療の提供を図るとともに, 補綴歯科臨床の意義に関する活発な啓発活動を実践し, 「健康科学としての歯科補綴学」を広く国民に認識させるための方策を考え, 実行すべきである.
著者
山本 さつき 井上 宏
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.282-291, 2003-04-10
参考文献数
25
被引用文献数
5 2

目的: 咬合障害とストレス反応の関連を明らかにするために咬合障害を与えたラットの前頭皮質ドーパミン放出量を測定した. 咬合障害を付与した状態での摂食時ドーパミン放出量の増加は不安を含めた精神医学的なストレス反応に関与しているという仮説を検証するために, 抗不安作用のあるベンゾジアゼピン系薬物ジアゼパムの影響を調べた.<BR>方法: 前頭皮質中のドーパミン放出量の測定はマイクロダイアリシス法を用いて行った. 各実験において対照群と咬合障害群の2群に分け, おのおのをn=6とした. ドーパミン放出量の測定は摂食180分後まで行った. 実験1固形飼料を摂食させ, ドーパミン放出量の経時的変化を測定した. 実験2摂食前にジアゼパムを投与し, その後のドーパミン放出量の経時的変化を測定した. 実験3摂食前に生理食塩水を投与し, その後のドーパミン放出量の経時的変化を測定した.<BR>結果: 実験1咬合障害群は摂食後ドーパミン放出量に有意な増加を認めた.実験2咬合障害群と対照群でドーパミン放出量に有意差は認められなかった. 実験3咬合障害群は摂食後, ドーパミン放出量に有意な増加を認めた.<BR>結論: 咬合障害を付与したラットの摂食時前頭皮質ドーパミン放出は増大し, その反応はジアゼパムにより抑制されることが統計学的に証明された. 本研究により, 咬合障害は不安を含めた精神医学的ストレスを惹起することが明らかにされた.
著者
内山 洋
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.381-396, 2001-06-10
参考文献数
66
被引用文献数
11 1

最近の社会環境の変化によって人々の生活のなかで手技を必要とする機会が激減していることから, 産業界はかなり以前から物造りの現場に危機感をもち, 熟練工の技能をコンピュータ制御の機械に移植してCAD/CAM技術を幅広く発展させてきた. そこで, 同様に手技によって支えられている歯科医療の将来に危機感を抱き, 産業界の進歩したCAD/CAM技術を導入し, 歯科医療の平均的な質的向上を図ることを目指して1973年より北海道大学で歯冠補綴物のクラウンの機械加工について研究開発を行ってきた.<BR>この研究の特徴的なことは, 機械加工の原点として歯の形状を感覚的なイメージではなく, 三次元の数値データとして認識することであった. したがって, その形状データを得るための計測方法の研究と, クラウンを作製するための歯冠形態を, ワックスで形作るように設計できるCADの開発が主体で, CAMは既存のNC加工機の技術を応用した. 国とメーカーの援助でレーザ計測機と, 支台歯に合わせて歯冠形状を設計できるCAD, および専用のNC加工機が完成し, これまで手作業で行われていたクラウンの作製を機械作業のみで高精度で行うことが可能となった.<BR>この研究の結果, メーカーによって歯科用のCAD/CAM装置が市販され, 実用化への道が開けた.
著者
岡林 昌彦 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.179-188, 2001-02-10
参考文献数
17
被引用文献数
9 3

目的: 本研究の目的はカスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作にかかわる基準を提言することにある.<BR>方法: 9種類のシート材を用いて, 厚さ, 吸水性, 定荷重下における変形ならびに成形後のマウスガードの各部の厚さを評価した.<BR>結果: 1. 各製品ともにシート材は均一な厚さであった. 2. 吸水率は, D20 (Erkodur2.00mm) が最大で, F4 (Erkoflex4.00mm) が最小であり, Es (Essix) とPr (Pro-form) は同程度であった. 3. 定荷重による変形率は浸漬によってErkodurは増加し, Erkoflexは減少したが, EsとPrでは浸漬による影響は認められなかった. 4. 成形後の厚さは, すべての材料, 積層成形, 組合せ成形において減少し, Erkodur, Erkoflex, ErkoflexとErkodur, ならびにErkoflex間の組合せ成形では, 咬合面部が10~20%であり, 他の部位は30~46%であった. 一方, Es, Prでは口蓋側歯面正中部は2~4%であり, 他の部位は26~54%の範囲で減少した.<BR>結論: 本論文は, マウスガードシート材の吸水性, 浸漬による硬さへの影響ならびに成形後のマウスガード各部の厚さを定量的に明らかにし, カスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作に関する有用な示唆を与えている.
著者
二川 浩樹
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.171-179, 2006-04-10
被引用文献数
1

この10年間, 歯科補綴学に関連した領域の研究分野も細分化・専門化し, 関連領域の学会も非常に多くなってきています.それに伴い, 関連分野の学会誌も多数作られ, 和文誌に加え英文誌も刊行され始めています.(社) 日本補綴歯科学会ではProsthodontic Research & Practice (PRP) が刊行され, 2006年より年4回の発行が行われます.他学会や学会誌なども含めて省みた場合, 学会での多くの発表がそのまま埋もれたままになっているという問題点があります.また, この一方で, 論文を厳しく査読することでそのレベル・クオリティを高めようとする学会誌は多くあります.しかし, 学会発表を一人前の原著論文に育てることに手を差しのべてくれる学会誌はほとんどないことに気づきました.編集委員会では, PRPの編集に際し, 投稿された論文をいかにしてより良い英語の原著論文に育てていくかを中心に査読を行うことで意見の一致がみられていますので, 投稿された先生方に, 海外投稿では得られないメリットを感じていただけるものと考えています.われわれは第114回学術大会 (新潟) や地方支部会においてPRPのスキルアップセミナーを開催してきました.本総説は, セミナーの後半部分の内容をまとめたもので, 実験を立案した際の文献検索と参考文献の見つけ方, 用語集・文例集の作成の仕方 (イントロ-考察まで), Web辞書の紹介などPRPへの投稿に向けての英語原著論文の準備の仕方をできるだけ具体的に紹介しています.
著者
川本 善和 檜山 礼秀 根本 美佳 島 弘光 河原 一茂 島田 和基 吉成 勝海 浅野 澄明 桟 淑行 五十嵐 孝義 齋藤 仁弘 西山 實
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.632-641, 2001-10-10
被引用文献数
15 3

目的: 本研究の目的は, 高フィラー型硬質レジン修復物の補修時に追加築盛を行う際の表面処理条件が曲げ接着強さに及ぼす影響を明らかにすることである.<BR>方法: 高フィラー型硬質レジンとしてエステニア (エナメル質用レジンEE, 象牙質用レジンED) を用い, 製造者指示に従い重合した被着体 (2×2×12.5mm) に, 処理なし (NT), シラン処理 (S), ボンディング処理 (B), シラン処理とボンディング処理を併用 (SB) の条件で表面処理を行った後に, 直接法 (D) ではクリアフィルAP-Xおよび間接法 (I) ではEEによる追加築盛を行って重合し, 曲げ接着試験用試験体 (2×2×25mm) を作製した. 作製した試験体は, 37℃で24時間水中保管後に3点曲げ試験を行い, 曲げ接着強さとした.<BR>結果: 被着体EEおよびEDの両者で, 直接法はD-S≒D-SB>D-B>D-NTの順に, SとSB間を除き有意 (one-way ANOVA, P<0.05) に大きな値を示し, 間接法はI-SB>I-S>IB>I-NTの順に有意に大きな値を示した. また, 破断面のSEM観察では, D-NTおよび1-NT以外のすべての処理条件で, 被着体および追加築盛体での凝集破壊が認められた.<BR>結論: 直接法および間接法の両者で, SBとSが最も効果的で, 次いでBが有効であった.
著者
Satoru Ozono Tadahiro Fujita Masato Matsuo Kazuo Todoki Takatsune Ohtomo Hideyuki Negishi Toshio Kawase
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.366-374, 2008-07-10 (Released:2008-10-10)
参考文献数
36
被引用文献数
5 6

Purpose: Bone marrow stromal cells (BMSCs) are a promising cell source in applications for tissue engineering and regenerative medicine. Optimization and control of the growth and differentiation of cultivated cells can be achieved by the administration of growth factors and hormones in vitro. This study provided experimental information on the enhancement of the osteogenic potential of rat BMSCs in vitro and in vivo.Methods: Mineralized nodule formation of rat BMSCs in culture for 3 weeks with dexamethasone (Dex)-treated media supplemented with both basic fibroblast growth factor (bFGF) and 17β-estradiol (E2) was examined by histology. In porous β-tricalcium phosphate (β-TCP), proliferation, migration, and differentiation of BMSCs were examined by histology and transmission electron microscopy. After culturing, the composites were subcutaneously implanted into syngeneic rats. The tissues with implants were harvested after 4 weeks and evaluated microscopically by using histological stain.Results: Dex-treated media supplemented with both bFGF and E2 was the most effective in mineralized nodule formation of BMSCs in vitro. Light and electron microscopy revealed the presence of many cells with developed rough endoplasmic reticulum. Bone formation in the BMSC/β-TCP composites in cultures in vitro for 3 weeks was observed histologically at 4 weeks after implantation. When BMSC/β-TCP composites were cultured in Dex-treated media supplemented with both bFGF and E2, the amount of bone formation at implants was substantially greater than that of composites cultured in Dex-treated media supplemented with bFGF.Conclusion: The combined use of bFGF and E2 could effectively improve the bone-forming ability of BMSCs.
著者
五味渕 泰造 小出 馨 旗手 敏
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.339-347, 2000-04-10
被引用文献数
12 1

The form of occlusion in denture wearers is an important factor for masticatory function in subjects with a denture. The masticatory performance was statistically compared between subjects by applying bilateral balanced lingualized occlusion (L.O.) and full balanced occlusion (F. B. O.) to study the effects on masticatory function. The subjects were 6 cases with an edentulous jaw (4 males and 2 females). Experimental foods were boiled fish-paste, peanut, and carrot. The trial was repeated 3 times for each of the 3 foods, with chewing at 10, 20, and 30 times respectively. One unit was determined as a 10 mesh screen. The results were as follows:<BR>1. For boiled fish-paste (soft or elastic food), F. B. O. showed a significantly higher masticatory performance at all chewing frequencies compared to L. O.<BR>2. For peanut (hard or crushable food), there was no significant difference in masticatory performance at all chewing frequencies and the form of occlusion.<BR>3. For carrot (hard or cut food), L. O. showed a significantly higher masticatory performance at 10 and 20 times chewing frequencies compared to F. B. O.<BR>It was suggested that L.O. is effective in masticating hard or cut food, and is the form of occlusion having a high cutting potential compared to F. B. O.
著者
浜田 泰三 二川 浩樹
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.561-581, 2001-10-10
被引用文献数
16 1

顎口腔が全身の一部として, 全身とのかかわりがあるにもかかわらず, 体の一部分として取り扱われてきた傾向があるが, 高齢社会のなかで寝たきり患者などから否応なしに口腔が全身の健康と深い関係がある実態をみせつけられた. 欧米ではすでに100年以上も前から義歯の汚れを微生物学的視点からとらえていたが, わが国では20年くらいの歴史しかない. 本稿ではまず (1) デンチャープラークの微生物について解説した. 次いで (2) デンチャープラークの病原性について口腔への影響と全身への影響について言及した. さらに (3) オーラルヘルスケアの具体的方法として機械的な清掃法, 義歯洗浄剤さらには抗真菌剤や銀系無機抗菌剤の応用を紹介した.<BR>オーラルヘルスケアにあたり, いかに口腔内の汚染レベルを把握するかはとても重要であり, 現在応用できるカリエスリスク検査と歯肉溝滲出液検査について解説し, 特にカンジダ検査について詳しく述べた. 局所ならびに全身状態の把握や高齢者に対して特に配慮すべき事柄についても言及した.
著者
田中 美保子 三海 正人 中村 茂 小池 麻里 藤井 弘之
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1037-1044, 1998-12-10
被引用文献数
2

The discoloration of the fixed metal prosthodontic appliances, which had been removed from the oral cavity, was observed to obtain epidemiological and clinical suggestions to select the dental alloy. This study was performed on 396 fixed metal prosthodontic appliances which were removed from the oral cavity.<BR>The findings were as follows:<BR>1. The appliances were composed of 7 kinds of dental alloy, Au-Pd-Ag-Cu-alloy (74.4%), Ag-alloy (9.8%), Ni-Cr-alloy (9.5%), Au-alloy (4.5%), Amalgam (0.5%), Co-Cr-alloy (0.3%), Titanium alloy (0.3%), and others (0.7%). The appliances observed were full cast crowns (33.1%), bridges (21.0%), fillings or partial veneer crowns (16.7%), resin faced cast crowns (13.1%), connected crowns (6.3%), root caps (2.5%), band crowns (2.3%), porcelain-fused-to-metal-crowns (1.8%), metal cores (1.8%), and attachments (1.5%).<BR>2. The proportionof the discoloration of appliances removed was 69%, and this was about 1.7 timeshigher than before removal (p > 0.01).<BR>3. The discoloration of appliances increased with the duration of use in the oral cavity (p > 0.01), and theappliances of Ag alloy were the most discolored (88.9%, p> 0.05) among 7 kinds of alloy.<BR>4. Discoloration was frequently observed at the soldered portions, inner margin, and basal surfaces of pontic or the lower parts of connectionat the proximal embrasure (p > 0.05).<BR>5. The proximal surfaces adjoiningdiscolored appliances were more discolored than those adjoining nondiscolored appliances (p > 0.01).<BR>6. In patients whose oral prophylaxis status were better, the appliances tended to be less discolored.
著者
友永 章雄 池田 雅彦 加藤 〓 大畑 昇
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.221-230, 2005-04-10
被引用文献数
7 6

目的: 本研究は夜間装着したオクルーザルスプリント上にできる咬合小面 (ファセット) を観察し, Sleep bruxism (以下SBと略す) の強さの評価指標とし, SBの強さと修復物脱落との関係を解明することを目的とした.<BR>方法: 1976年から2004年までにスプリントを装着した患者912名のうち422名を任意に選択し, その患者の修復物 (インレー, クラウン, 連結冠, ブリッジ) 3, 673個を調査対象とし, 脱落状態を調査した.SBの強さは評価用インクを塗布したスプリントを夜間装着させ, スプリント上のインクと咬合小面 (ファセット) の状態を観察する池田式分類で評価し, 経時的に修復物の残存率を調べた.B-0: ファセットなし, B-1: インクが剥げファセットが認められる状態, B-2: ファセットが削れている状態, B-3: ファセットが著しく深くえぐれている状態.<BR>結果: 修復物が脱落した人はB-1: 12.7%, B-2: 35.1%, B-3: 43.8%でSBが強いほど多く, 合着後早期に脱落し, B-1, B-2, B-3各群の15年後の脱落率は全修復物9%, 18%, 24%, インレー19%, 24%, 32%, クラウン5%, 12%, 13%であった.<BR>結論: 修復物脱落にはSBの強さが影響し, スプリントの咬合小面 (ファセット) 観察によるSB評価が修復物脱落の予後判定に有効であり, SBの力の抑制により脱落を減らせることが示唆された.
著者
反町 晋康 佐藤 格夫 澤口 正俊 小司 利昭 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.112-116, 1997-02-01
被引用文献数
12 2

In order to clarify the reliability of measurement accuracy of the SDM apparatus, thickness of 9 palatine mucosal regions of 2 normo-dentulous subjects was determined and its correlation with the measured values for the same regions by puncturing was examined. Furthermore, thickness measurement was made of 10 palatine mucosal regions of 25 males and 11 females. The results were as follows:<BR>1. Intra-individual change in the measured value tended to be smaller by SDM method than by puncturing.<BR>2. A high correlation was noted between the measured values of palatine mucosal thickness diameter by puncturing and SDM method.<BR>3. As for the palatine mucosal thickness by SDM method:<BR>1) Palatine median region and retropalatine lateral region showed the smallest and the greatest thicknesses, respectively.<BR>2) Males tended to have greater thickness in all regions that were measured than females.
著者
金谷 貢 渡辺 孝一 宮川 修
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.227-237, 2001-04-10
被引用文献数
11 5

目的: 本研究ではブリッジと有床義歯に関する教育, 研究および臨床の将来計画立案の-助とするために, 将来使用されるそれら補綴物数の推計を試みた.<BR>方法: 研究対象は65歳以上の高齢者および要援護高齢者とした. 将来における一人平均のブリツジ数と有床義歯数を歯科疾患実態調査報告をもとにした単純回帰分析より推定した. 回帰分析においては, 推定回帰線の交差および上限に対する補正を加えた. 推定された一人平均のブリッジ数, 有床義歯数, および将来推計人口から, 将来使用される補綴物数を予測した.<BR>結果: 高齢者が使用するブリッジと有床義歯の総数は, 今後20年間で2.0倍 (2.2~1.1倍, 95%信頼区間より算出) と1.5倍 (1.8~1.0倍) にそれぞれ増加し, その後10年間は両者ともにほぼ一定で推移すると推定された.ブリッジ数と有床義歯数の増加率はともに年齢階層が高くなるほど大きくなっていた. また, 要援護高齢者が必要とするブリッジと有床義歯の総数は, 今後25年間で2.7倍 (3.2~1.0倍) と1.8倍 (2.2~1.0倍) にそれぞれ増加すると推定された.<BR>結論: 以上より, 高齢者および要援護高齢者を対象としたブリッジあるいは有床義歯に関する教育, 研究および臨床はこれまで以上に必要性が増してくると考えられた.
著者
高橋 英和
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.474-483, 2003-06-10
被引用文献数
2 6

義歯安定剤には, 義歯粘着材と呼ぶべき粘着性の強い製品群と, 義歯床と口腔粘膜の間隙を補填して, 適合性を改善することで吸着性を向上させる家庭用裏装材 (ホームリライナー) の製品群に分類できる. 義歯粘着材では, さらに製品形状により粉末タイプ, クリームタイプ, テープタイプに分類できる. 義歯粘着材の主要成分は, 天然ゴムもしくは水溶性高分子であり, 口腔内や義歯の水分を吸収して膨潤し, 粘着性の高い液体となり, 義歯の維持力を増加させる. それに対しホームリライナーの主成分はポリ酢酸ビニル樹脂であり, 義歯と粘膜面の間隙を閉鎖することで維持力を発揮させる. 使用時にゴム弾性を示すのでクッションタイプとも呼ばれる. 義歯安定剤の接合力を測定したところ, 義歯粘着材は被着材の種類にかかわらずある程度の接合力を発揮するが, ホームリライナーはアクリル板でのみで大きな接合力を発揮する. また, 義歯安定剤には厚みがあるため, 咬合関係を誤った位置に導くことが懸念される. 実際にこれらを口腔内で使用したところ, 義歯粘着材は義歯の吸着を改善するが, 粘膜面からの除去が難しく, 不潔になりやすい. ホームリライナーではあまり義歯の吸着を改善しなかった. このように, 義歯安定剤は義歯粘着材とホームリライナーで大きく性質が異なり, 区別して考える必要がある.