著者
古井 秀法
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-10, 2020-07-15 (Released:2020-07-23)
参考文献数
30

近年、坐禅に興味のある人が増え、実際に坐禅指導を受けようとする人も増えているが、坐禅を行う際に適切な指導者を見つけることは比較的困難である。これでは、潜在的な坐禅体験希望者に対応できない状態である。本研究では、このような問題を解決するために、ICT (Information and Communication Technology) を活用することによって坐禅を遠隔指導することが可能であるかについて検討する。従来の対面による坐禅指導とビデオ通信システムを利用した遠隔指導を比較し、検証を行った。被験者の生体反応を記録し、心拍変動( HRV) と脳波( EEG) を指標として分析を行った。結果として、対面指導と遠隔指導に、有意な差はなく、坐禅を遠隔によって指導することが可能であることが確認できた。さらに、坐禅の熟達者における心拍変動と脳波における相互関係についても検討を行った。その結果、熟達者の坐禅に於いては、心身はリラックス状態であるが、脳は活動的になっていることが解析結果によって明らかとなった。