著者
古園井 昌喜
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学保健体育センター研究紀要 (ISSN:09198679)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.33-37, 1996-09-01

1930年(昭和5年)10月,八幡製鐵所野球チーム一行17名は台北市政施行10周年記念行事の一環としての野球大会に招聘された。主催は台北野球同好会,斡旋は大阪毎日新聞社。当時,北九州地方では1918年に門司鉄道局,同20年中島鑛業所,同24年八幡製鐵所が,それぞれ自社のシンボル的存在としての機能性を期待し野球部を発足させている。3社ともに総従業員約30,000人の大企業である。特に,八幡・門司両野球部は,満州,朝鮮,台湾にしばしば遠征しているが,それに関わる資料は極めて少なく,今後の解明が待たれる。その一端として,今回は八幡製鐵所野球部史の台湾遠征記事を中心に,その内容を報告する。これは,日・台間の野球交流の史的補填を意味すると考える。