著者
木村 弘信 原岡 喜重 河野 實彦 八牧 宏美 高野 恭一 岩崎 克則 古島 幹雄 山田 光太郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1)一般超幾何関数およびOkubo方程式の研究,2)Painleve方程式をはじめとする非線形可積分系の研究が本課題の目的である.GL(N,C)の正則元の中心化群の共役類はNの分割によって決まるが,一般超幾何関数は,このようにして得られる極大可換部分群の普遍被覆群の指標をラドン変換して得られるGrassmann多様体Gr(n,N)上の関数である.この積分表示の被積分関数から定義される代数的なde Rham cohomology群を具体的決定を行った.この問題はn=2の場合には一般的に,またn>2のときにNの分割が(1,...,1)や(N)の場合にすでに解決していたがそれ以外の場合には未解決であった.今回,分割が(q,1,...,1)の場合にcohomology群のpurity, top cohomology群の次元,具体的な基底の構成を与えた.この結果は関数を特徴付けるGauss Manin系を決定するときに重要である.また,分割が(N)の場合,すなわちgeneralized Airy関数の場合にde Rham cohomologyに対する交点理論を整備し,その交点数をskew Schur関数を用いて明示的に決定する研究を行った.このときに,特異点理論におけるflat basisの類似物が重要な役割を果たすことが示された.アクセサリパラメータを持たない方程式については,Okubo方程式についての結果を用いることによって,解の積分表示を持つことが示された.この積分表示はGKZ超幾何関数の積分表示の特別な場合になっており,その枠組みでの明確な位置づけと不確定特異点をもつ方程式を含む総合的な理解はこれからの課題である.Painleve方程式については,解全体をパラメトライズする解析的な空間である初期値空間の研究において,この空間にSymplecticな構造がはいること,初期値空間の幾何学的構造がPainleve方程式を本質的に決定してしまうことが示された.さらにPainleve方程式に関する不思議な現象が発見された.Painleve II型方程式は自然数によって番号付けされるひとつの系列の有理関数解を持つことが知られているが,この有理関数解を係数とするgenerating functionを作るとそれはAiry関数の無限大での漸近展開から得られることが分かった.