著者
古川 一郎
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日系ブランドに対する中国消費者の「嫌いだけど買う」という、言説と行為の矛盾を説明する論理的フレームを構築し、データによる検証を行った。結論は以下の通りである。(1)嫌いだけど買うという言説と行為の矛盾は、反日という社会規範が引き起こしている。(2)実際は、中国消費者は日系ブランドが好きだから購入しているが、言説と行為の矛盾にほとんど無自覚である。(3)人々の対話は、社会規範の影響を受けている。この社会規範は対人関係の性質により大きく異なり、したがって対話の内容は相手により大きく異なる。「面子」という中国社会の規範の影響が大きく作用するとき、常に相手によって対話の内容が変わる。