著者
梅田 靖之 石田 藤麿 辻 正範 古川 和博 佐野 貴則 当麻 直樹 阪井田 博司 霜坂 辰一 鈴木 秀謙
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.69-77, 2015 (Released:2015-05-31)
参考文献数
21
被引用文献数
7 10

【目的】瘤内コイル塞栓術を仮想した多孔質媒体モデルを用いた数値流体力学(computational fluid dynamics: CFD)解析をおこない,術後閉塞状態の予測に有用な血行力学的パラメータを開発する.【方法】コイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤20 例を対象とした.瘤内残存血流体積(residual flow volume,RFV)という血行力学的パラメータを考案し,術後閉塞状態の予測に有用か後方視的に検討した.【結果】術後6~12 カ月の脳血管撮影で完全閉塞は11 例,不完全閉塞は9 例であった.仮想コイル塞栓術後CFD 解析では,RFV は不完全閉塞群で有意に大きかった.RFV はreceiver operating characteristic(ROC)解析において,コイル充填率よりもROC 曲線下面積が大きく,RFV の閾値血流速度を1.0 cm/sec 以上とする設定が最も診断精度が高かった.【結語】多孔質媒体モデルを用いたCFD 解析により,術前算出可能なRFV が術後塞栓状態を予測する有用な血行力学的パラメータであることが明らかとなり,治療戦略への応用が期待できる.