著者
早福 正孝 辰市 祐久 古明地 哲人 岩崎 好陽
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.122-130, 2002-03-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1

家庭用焼却炉を用いて3種の落ち葉 (ケヤキ, スダジイ, シラカシ) を焼却し, その結果を用いてダイオキシンの生成要因を考察した。葉, 焼却排ガス, 焼却灰中のダイオキシン類の濃度は, 葉の種類による大きな違いはなかった。しかしケヤキの排ガス中のダイオキシン類濃度のみは, スダジイ, シラカシに比べると高濃度であった。このケヤキの排ガス中ダイオキシン類の高濃度は, 葉中の塩素含有量に影響を受けているものと思われた。そこで, 都内の公園や街路における14種類の樹葉の塩素含有量を調査した。その結果, ケヤキの葉中の塩素含有量が最も多かった。焼却排ガス中のダイオキシン類濃度 (Y: ng-TEQ/m3N) と焼却物の塩素含有率 (X:%) の間にY=308X1.3(R2=0.9485n=12)の関係式が得られた。この式から, 塩素含有率が10倍ずつ増加すると, 焼却排ガス中のダイオキシン類濃度は約20倍ずつ増加することになる。塩素含有量の多いケヤキの葉の焼却排ガスは, 低塩素化ダイオキシン類を多く生成させた。
著者
古明地 哲人
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.A103-A111, 1993-09-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
26

大気汚染の研究範囲はこれまで専ら人の健康, 植物影響に関する研究分野に関心が集中してきた。そしてこれらに関係する形で大気中での汚染現象を気象, 拡散, 化学反応モデル, 汚染物質と被影響対象との量一反応関係として扱う等, 多くの学問分野を包含する手法も使用されてきた。しかし, 緊急避難としての性格が大きかったこれまでの環境調査研究の中にも, 近年は環境問題のより幅広い現象に関心が広がり, 歴史的な文化遺産, 文化財への影響, その保存法等の調査も徐々に実施されはじめて来た。文化財のおかれている現状, また文化財の面からのより質の高い, 良好な環境について紹介したい。