著者
古林 通孝 安田 直明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.395-403, 2010 (Released:2015-01-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

都市ごみ焼却施設の発電量向上策の一つの考え方として,窒素酸化物自主規制値緩和を取り上げ,窒素酸化物排出濃度の違いによる周辺環境への影響の度合いと,期待される発電増加量や温室効果ガス削減効果について整理した。都市ごみ焼却施設からの窒素酸化物排出濃度は,触媒脱硝装置などを採用しなくても,100~120ppm程度が期待される。そこで,簡易な大気拡散計算により,国内の建設予定施設の周辺地域の大気環境濃度を推算したところ,排出濃度が50ppm (触媒脱硝装置を採用) から120ppm (触媒脱硝装置を不採用) に緩和されても,二酸化窒素の環境基準に対して,1~4%程度の増加にとどまることが推測された。また,施設規模150ton⁄day×2炉の都市ごみ焼却施設について,自主規制値が50ppmから120ppmまで緩和されると,発電量として2,205MWh⁄年の増加が見込め,この発電増加量は1,237ton⁄年の二酸化炭素削減量に相当することが推察された。