著者
望月 智也 古澤 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-6, 2021 (Released:2021-01-20)
参考文献数
18

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は,2017年6月の最終報告書において,企業等に対して,事業や資産が気候変動により将来受ける影響(リスクと機会)の把握と開示を勧告した.現在,国内では,気候変動リスクをClimate VaRにより分析する動きがある.気候変動リスクは様々であるが,我が国では,今後水害リスクに着目したClimate VaRの開示が求められる可能性が高い.但し,Climate VaRの算定手法は,明確になっていない状況にある.本報ではClimate VaRに係る各種文献を紐解き,その指標の数理的意味や他のリスク指標との違いを考察した.さらに,別途工学的に求めた水害リスクをClimate VaRの分析に反映させる場合の考え方を示し,今後の具体的評価に向け試算を行った.