著者
磯谷 泰知 村谷 博文 古田 憲一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.235, pp.9-14, 2006-09-06
被引用文献数
4

予めデジタルコンテンツに対してIDを埋め込んでおき,コンテンツが不正に流出した際に,IDから不正者を追跡するフィンガープリンティングという技術がある.フィンガープリンティングにおいては異なるIDの埋め込まれた複数のコンテンツを用いてIDを改ざんする結託攻撃への対策が必要であるが,結託攻撃に対して耐性を持つ結託耐性符号は符号長が長く,実用化に向けてはできるだけ短い符号長での構成法が求められる.結託耐性符号の一つとしてTardosが符号の構成法と符号長を与えているが,しかし,この構成法はパラメータをアドホックに決めている部分があり,符号長の観点からは最適なものとはなっていない.そこで,これらのパラメータを変数とみなし,符号長を決定付ける評価式を一般化することとTardosの与えた符号が結託攻撃耐性を有するであることの証明過程において用いられている不等式を厳密に評価することで符号長の短縮を図ることを試みる.またこれらの解析に加え,数式の評価が困難な部分に関しては数値解析を用いることにより,結託者数が多い場面においてはTardosの構成法の1/4以下の符号長で符号が構成できることを確認した.
著者
米村 智子 古田 憲一郎 花谷 嘉一 磯谷 泰知 駒野 雄一 村谷 博文 野崎 華恵 大熊 建司 新保 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.207, pp.25-32, 2008-09-05
被引用文献数
10

安全性と効率を兼ね備えた公開鍵暗号を構成するために,群として拡大体上代数的トーラスを採用する.本稿では,そのパラメータ設定規準を導出し,具体例を示す.パラメータ生成の際に考慮すべき項目として,次のI〜IIIを挙げ,それぞれについて考察を加える:I安全性,II拡大体の構成法,III暗号系の構成法.I安全性に関して,拡大体上の代数的トーラスで定義される離散対数問題の困難さについて整理する.II拡大体の構成法に関して,演算効率が良く自由度が比較的大きい2項式による拡大を用いる.III暗号系の構成法に関して,平文が含まれる群が簡単に表現できるように,素数位数トーラスを扱う.