著者
駒野 雄一 太田 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.436, pp.21-28, 2002-11-07

OAEP,OAEP+への安全性証明技法には,暗号系を破るAdversaryの動作環境を微修正しながらGameを構成しその都度帰着効率を評価するGame法と,Adversaryの動作環境を一度に指定して帰着効率が下がる事象を切り分けながら評価を行うEvent法が存在する.従来,OAEPはGame法とEvent法で,OAEP+はGame法のみで安全性証明が行われており,相互の技法の関係もよくわかっていなかった.本研究ではOAEP,OAEP+のそれぞれについて各技法による証明を考察することで従来の評価よりも帰着効率を向上させ,OAEP+についてはEvent法による安全証明を新たに与えた.またその結果,Game法とEvent法はそれぞれGameの構成やEventの切り分けを工夫することで,どちらも必要最低限の帰着効率の減少で安全性を証明できることが期待できることを示す.
著者
米村 智子 古田 憲一郎 花谷 嘉一 磯谷 泰知 駒野 雄一 村谷 博文 野崎 華恵 大熊 建司 新保 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.207, pp.25-32, 2008-09-05
被引用文献数
10

安全性と効率を兼ね備えた公開鍵暗号を構成するために,群として拡大体上代数的トーラスを採用する.本稿では,そのパラメータ設定規準を導出し,具体例を示す.パラメータ生成の際に考慮すべき項目として,次のI〜IIIを挙げ,それぞれについて考察を加える:I安全性,II拡大体の構成法,III暗号系の構成法.I安全性に関して,拡大体上の代数的トーラスで定義される離散対数問題の困難さについて整理する.II拡大体の構成法に関して,演算効率が良く自由度が比較的大きい2項式による拡大を用いる.III暗号系の構成法に関して,平文が含まれる群が簡単に表現できるように,素数位数トーラスを扱う.
著者
駒野 雄一 山崎 太郎 太田 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.744, pp.75-80, 2003-03-20

OAEPよりも緊密な安全性を持つ改良方式として,Shoupは2001年にOAEP+を,古原・今井は2002年にOAEP++を提案した.本研究ではOAEPのPadding情報(冗長度)の構成法とそれをつける位置,暗号化関数への入力範囲を変更することで構成される(OAEP+, OAEP++を含む)72通りの変形方式を考え,各方式がどのレベルの安全性を実現するのかを網羅的に考察する.さらに,安全ではない方式に対しては安全性証明が破綻する要因を特定し,具体的な攻撃方法を与える.
著者
駒野 雄一 太田 和夫 新保 淳 川村 信一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.51, pp.9-16, 2005-05-11

本稿では, 文献[10]で構成した署名者以外のエンティティによる否認機能をもつリング署名方式をグループ署名方式とみなして再考する.文献[10]で構成した方式は, 署名者が署名生成時に動的にグループを決定できる点, グループの管理者が不要である点でグループ署名方式とは異なるため, 以下ではこの方式をDGS方式(Democratic Group Signature方式)とよぶ.本稿ではDGS方式の安全性モデルを構築し, ランダムオラクルモデルの下で文献[10]の改良方式の安全性を証明する.
著者
青木 聡 駒野 雄一 宮永 望 本間 祐介 森田 光 太田 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.743, pp.97-102, 2003-03-19

代表的な小額決済方式として,PayWordとMicroMintがある.PayWordは支払い・清算を計算量の小さいハッシュ演算で行い,コイン(ハッシュ連鎖)の正当性を保証するためにデジタル署名を用いる.MicroMintはデジタル署名の代わりにコインの正当性をハッシュコリジョンで保証し,全ての処理をハッシュ演算で行うが,コインごとにコリジョンが必要となる.本論文では,ハッシュ連鎖つきコリジョンをコインとすることで,コインの正当性をコリジョン計算の困難性で保証し,1つのコリジョンで複数回の支払いが可能となる新たな電子小額決済方式を提案する.また,システム全体でコイン生成に必要な計算量の観点から,提案方式をPayWord,MicroMintと比較する.評価の結果,提案方式はMicroMintに対してコスト面では常に優れており,PayWordに対してはハッシュ関数の値域の大きさによってコスト面の優劣がつくことを確認した.
著者
駒野 雄一 太田 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.744, pp.81-86, 2003-03-20

Coronらは,同一のPadding方式と鍵の組で暗号化と署名生成を実現できるPSS-ESを提案して安全性証明を行った.PSS-ESは,暗号系と署名系に同一のPaddingを用いるのでプログラムサイズが制限された制約された環境での実装に適していることに加え,鍵の管理も容易になるという利点がある.しかしPSS-ESの暗号系としての安全性は,暗号化関数の部分領域一方向性に依存しているため帰着効率が悪い.本論文では,REACTとOAEP++を基にREACT-ESとOAEP++-ESを構成し安全性証明を行った.その結果,REACT-ESやOAEP++-ESは帰着効率の点でOAEP-ESをはるかに上回ることが確認できた.さらに,REACT-ESは通信効率の点で他の方式より優れ,最も実用的な方式であることがわかった.
著者
藤崎 浩一 友枝 裕樹 三宅 秀享 駒野 雄一 新保 淳 川村 信一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.200, pp.95-102, 2004-07-14

暗号機能を搭載した機器に対して,暗号演算時の消費電力や演算時間などを用いて鍵情報を導出するサイドチャネル攻撃の研究が盛んに行われている.サイドチャネル攻撃に対する標準的な実験評価環境がないために,提案されている攻撃手法および対策の有効性を統一的に評価することが難しいという問題点があった.(財)日本規格協会情報技術標準化研究センター(INSTAC)耐タンパー性調査研究委員会では,平成15年度に8bitCPUを対象としたサイドチャネル攻撃の標準的プラットフォームの仕様を策定し,インターネットを通じて公開している[1].本稿では,このプラットフォームの仕様を説明し,さらに本プラットフォームを用いてDESに対する差分電力攻撃(Differential Power Analysis)の実証実験を行った結果を報告する.