- 著者
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仲谷 美沙子
田島 浩子
川西 智子
高橋 慎治
内田 季之
鈴木 一有
古田 直美
伊東 宏晃
徳永 直樹
金山 尚裕
- 出版者
- 静岡産科婦人科学会
- 雑誌
- 静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.1, pp.50-57, 2014
胎児と胞状奇胎が認められる病態には、胎児が存在する部分胞状奇胎の場合と、正常胎児・全奇胎の双胎の場合がある。今回、我々は胎児が共存する部分胞状奇胎と診断された3例を経験した。3症例とも妊娠初期に稽留流産となり、子宮内容除去術が施行された。そのうち2症例では、施術前に胎盤の超音波断層法像に異常を指摘されておらず、子宮内容除去術後に診断された。胞状奇胎の超音波像は多彩であり、必ずしも典型的な嚢胞状所見を示さないこともある。胎芽(児)を超音波で描出する稽留流産の場合、稀ではあるが胎児共存奇胎の可能性を念頭に置き、慎重に超音波検査を行い、胎盤・絨毛組織の病理検査を怠らないことが重要であると考えられた。