著者
笹川 正二 古谷 達孝 佐藤 允康 花井 定彦 小田切 久夫 石原 文之 千木良 吉睦 鳥居 ユキ
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚泌尿器科 (ISSN:21886156)
巻号頁・発行日
vol.13, no.12, pp.1287-1291, 1959-11-01

ハイドロコーチゾン軟膏が急性及び慢性湿疹,小児湿疹,アトピー性皮膚炎,接触皮膚炎等に優れた効果を示すことは周知の事実で,現在盛んに使われているが,これら疾患は何れも掻痒がはげしく,掻破により二次的化膿菌感染を伴い易く,殊に夏期は発汗と相侯つて膿痂疹性湿疹の状態を見ることは屡々である。又一方貨幣状湿疹,感染性湿疹様皮膚炎,耳後間擦疹,自家感作性皮膚炎乃至播種状細菌疹等は湿疹或はその類症でありながらブドー状球菌又は連鎖状球菌がその発生に原因的役割を演ずると解され,これら何れの場合にもハイドロコーチゾンの抗炎症作用の他に殺菌剤として抗生物質を加えることによつて治療の完壁が期待されるところである。かかる目的にかなつたものとして今回興和化学より強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏が新たにつくられ,提供され東大分院皮膚科外来患者に使用したので,その治療成績について報告する。 本軟膏の組成はその1g中に 酢酸ハイドロコーチゾン 10.0mg
著者
馬場 安紀子 谷口 恭子 折原 俊夫 古谷 達孝
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.1215, 1986 (Released:2014-08-08)

臨床的に鎖骨等の骨直上に好発する特異な色素沈着症いわゆるfriction melanosis(FM)の皮疹を呈し,しかも病理組織学的にアミロイドの沈着が認められた6症例を報告した.症例は男性1例,女性5例,年齢29~52歳,全例ナイロンタオル使用歴を有した.皮膚科外来を受診した種々の皮膚疾患患者を対象に,ナイロンタオルに関するアンケートを実施したが,男性274人中123人(44.9%),女性364人中234人(64.3%),総計638人中357人(56.0%)にナイロンタオル使用歴があり,年齢別では10,20,40各代の順に使用率が高かった.上記のアンケート調査638人中,骨直上に色素沈着が認められたものは,ナイロンタオル非使用者281人中1例(0.4%),使用者357人中18例(5.0%)の計19例(男性8例,女性11例)であった.当科において皮膚生検を施行したFM例は合計9例で,うち6例にアミロイドの沈着が認められた.自験例はFMに併発した続発性アミロイドーシスと考えられるが,本症と限局性皮膚アミロイドーシスの1型であるmacular amyloidosisとの関係についても論じた.