著者
平山 芳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.38-41, 1950-01-01

第一章緒言 昨年度(23年度)外科學會總會に於て今永教授が"チアニン系色素"を入體に應用する事に依り日光エネルギーを感光色素を媒體として人體に吸收せしめ其のエネルギーを生體機轉の増進源として體質の改善,抗病力の増加及び疾病治療特に結核の治療に使用し顯著なる治効をおさめ,且つ皮膚は最も光線の影響を受け易き場所なるが故皮膚は虹波に良く反應するものならんと言ふ報告より我々は虹波中の虹波I號複合體なる「ルミン」を皮膚結核に使用し見るべきものが有つたので報告する.
著者
馬場 正次 岩佐 賢二 大江 昭三
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.591-593, 1955-09-01

まえがき ビタミンB6は家鼠の抗皮膚炎性因子として発見されて以来,皮膚科領域に於て,湿疹及びその類似性疾患に単独に,或はビタミンB1,B2等と共に内服,注射の形で広く用いられて来たが,その相当量の使用にも,あまり効果の見られない場合も屡々経験される処である。殊に有効とされている脂漏性皮膚炎に於いてこの感が深い。 1952年Schreiner & Slingerは23例の脂漏性皮満炎患者を2グループに別ち,第1グループの11例に対しては毎日Pyridoxine 300mgを4週間経口投与,第2グループ12例中6例は最初1日600〜1000mgのPyridoxineを3週間注射し,次いで1%Pyridoxine軟膏を局所に塗布せしめ,他の6例は終始1%Pyridoxine軟膏の塗布のみを継続した。その結果第1グループに於ては脂漏性の局面が2例に於いて僅かに好転,5例は変化なく,4例は悪化し,第2グループに於いては,注射のみの継続中には2例に僅かな好転を見たのみであつたのが,Pyridoxine軟膏塗布後は全例に於いて5〜12日で著効を得たことを記載している。
著者
笹川 正二 古谷 達孝 佐藤 允康 花井 定彦 小田切 久夫 石原 文之 千木良 吉睦 鳥居 ユキ
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚泌尿器科 (ISSN:21886156)
巻号頁・発行日
vol.13, no.12, pp.1287-1291, 1959-11-01

ハイドロコーチゾン軟膏が急性及び慢性湿疹,小児湿疹,アトピー性皮膚炎,接触皮膚炎等に優れた効果を示すことは周知の事実で,現在盛んに使われているが,これら疾患は何れも掻痒がはげしく,掻破により二次的化膿菌感染を伴い易く,殊に夏期は発汗と相侯つて膿痂疹性湿疹の状態を見ることは屡々である。又一方貨幣状湿疹,感染性湿疹様皮膚炎,耳後間擦疹,自家感作性皮膚炎乃至播種状細菌疹等は湿疹或はその類症でありながらブドー状球菌又は連鎖状球菌がその発生に原因的役割を演ずると解され,これら何れの場合にもハイドロコーチゾンの抗炎症作用の他に殺菌剤として抗生物質を加えることによつて治療の完壁が期待されるところである。かかる目的にかなつたものとして今回興和化学より強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏が新たにつくられ,提供され東大分院皮膚科外来患者に使用したので,その治療成績について報告する。 本軟膏の組成はその1g中に 酢酸ハイドロコーチゾン 10.0mg
著者
皆見 省吾
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.143-144, 1963-02-01

I.まえがき 飲酒によつて紅斑または紫斑を起す例を見た。あまり記載されていないように思う。三浦氏は日本酒により下肢に紅斑を生じ,ビールでも起るがウイスキーでは起らぬという固定疹を報告した。氏は脱感作に成功したという。
著者
小野 茂良
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚泌尿器科 (ISSN:21886156)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.216-218, 1949-05-01

連圏状粃糠疹は明治39年に遠山博士によつて初めて記載されてから現在迄に200例近くの症例が報告されている.最初から寄生性皮膚疾患と考えちれ,從つてその治療としてはサリチル酸,レゾルチン,クリサロビン,タールパスタが用いられ或いは大陽燈照射や自家血清療法も併用されたが,何れによるも治癒し難いものでありた.然るに現在に至るもなお確實な病原菌の檢出は不成功であり,また一方本症は組織學的に角化症で,特に,毛嚢及び汗腺開口部に角質増殖が著明であることから,ビタミンA大量療法を試みて奏効した1例を經驗したのでこゝに報告する.
著者
安田 利顕
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚泌尿器科 (ISSN:21886156)
巻号頁・発行日
vol.12, no.13, pp.1365-1371, 1958-12-20

高年者程皮膚は菲薄であり,弛緩いていて,シワが多くなつてくることは衆知の通りである。且つ皮膚は乾燥して,鱗屑が認められる。その上,色素沈着,紫斑,毛細血管拡張などの病変と共に,老人性疣贅(近年Seborrheic Keratosisなる名称もあげられている),老人性角化症,老人性血管腫などの形態学的変化を発生いてくる。これらの発生には,先天的素因,あるいは遺伝的関係が関与していることは勿論であるが,外因の環境的因子もまた重視しなければならない。Seeman'sskin,あるいはFarmer's skinとして知られている項部菱形皮膚は,一種の皮膚萎縮であるが,この適例である。 他方,皮膚老化の成因といて内分泌的因子を無視できないことは,下垂体機能低下による下垂体性侏儒症(Hypophyseal Dwarfism)竝にPro-geriaにおいて皮膚は乾燥し,弛緩いて,シワが多くなり,また多産婦に多くみられる下垂体前葉破壊に起因するシモンズ氏病(Simmond's dis-ease)の皮膚は蒼白で,乾燥し,光沢,緊張を失い,菲薄になつてシワの多い老人性皮膚所見と類似していることからも知られる。