- 著者
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古賀 克也
福永 隆生
藤井 信
- 出版者
- 鹿児島大学
- 雑誌
- 鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, pp.179-187, 1976-03-20
ブロイラー頭部は乾物中, 蛋白質53%, カルシウム7.5%, 燐3%, 熱水可溶抽出物3%を含むので蛋白資源活用の面から食品としての利用性について研究した.1)缶詰にしたブロイラー頭部を0.7気圧加圧60分ないし150分蒸煮むよび1気圧加圧15分ないし90分蒸煮を行ない, 骨の軟化状態をTensilon UTMおよびガラス棒圧迫により調べた.その結果0.7気圧100分あるいは1気圧加圧60分の蒸煮で鶏頭は充分な可食状態になることが認められた.2)上記条件で加圧蒸煮したブロイラー頭部ミンチの一般成分およびアミノ酸組成を常圧蒸煮ミンチのものと比較してもほとんど変化は認められない.3)1気圧加圧60分蒸煮の頭部ミンチを豚肉ソーセージ製造時に5〜6%添加しても結着性には影響がなく, 試食官能テストの結果, 無添加のものに比し遜色がないことが認められた.さらに鶏頭部はカルシウム, 燐の含量が多いので, その可食化ミンチの摂取は妊産婦, 授乳婦にとって無機栄養上有効と思われる.4)アミノ酸の相対的割合からみればブロイラー頭部の蒸煮ミンチは鶏肉に比し, アルギニン, プロリン, グリシン, アラニンが多く, リジン, アスパラギン酸, グルタミン酸, 含硫アミノ酸, イソロイシンは少ない.蒸煮ミンチのprotein scoreは51であった.5)頭部およびそのミンチを常圧および加圧下で熱水抽出を行ないフレーバーテストを行なったところ, 遊離アミノ酸含量や蛋白質含量が多い加圧熱水抽出液よりも常圧熱水抽出液が呈味は良好であった.加圧熱水抽出液の5'-イノシン酸および乳酸含量は常圧熱水抽出液のものより少なかった.常圧熱水抽出液はスープあるいは調理のベースとして良好であるのみならず, その凍結乾燥粉末は長期保存呈味料として良好である.6)ブロイラー頭部ミンチの熱水油出液にはタウリンが著しく多く, 次でグルタミン酸, アラニン, ロイシンが多く含まれる.ヒスチジン, アルギニンおよびアスパラギン酸含量は少なくシスチンはまったく含まれない.天然調味料のとりがらエキス, 牛肉および鯨肉エキスとアミノ酸の相対的割合を比較すれば, 頭部ミンチ抽出液のタウリン含量は著しく多く, グルタミン酸含量はかなり少ない.さらに数種のアミノ酸含量についても他のエキスとの間にかなりの相違が認められた.